いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



この広い世界にふたりぼっち〈2〉人形カラシニコフ (MF文庫J)

「この広い世界にふたりぼっちII 人形カラシニコフ葉村哲MF文庫J
この広い世界にふたりぼっち〈2〉人形カラシニコフ (MF文庫J)

―――――「10秒後、夕凪は銃撃を開始します」―――――
故郷と森をそれぞれ捨てた咲希と白銀の狼・シロが辿りついた、名前も知らない北方の街。そこに一歩足を踏み入れた瞬間、シロの姿が消えた。そして、困惑する間もない咲希の前にあらわれた一人の少女。人形のように無表情な彼女は“夕凪”と名乗り、AK47アサルトライフルをかまえて咲希に挑みかかる。一瞬の仕合いの後、夕凪は咲希にある取引をもちかけてきた。シロの居場所について情報を与える代わりに、夕凪の主人である音亜という少女を殺害してほしいと……。
神の心臓を持つ少女が運命を超え、神話を超える。渾身のダークファンタジー第二弾!


やっぱりいい、この雰囲気。
神話と現実が混在した独特の世界感と咲希が持つ透明感と緊張感がたまらない。咲希に使われていた「冬の朝みたい」という表現はピッタリ。
それにこの2巻では1巻にも増して咲希が魅力的。
シロの不在に咲希が「私は何一つ分かっていないまま舞台に上げられ踊っている」と表した周りが見えてこない状況と“咲希を見ろ”と言わんばかりの構成。そんな中で咲希が見せる夫より狼らしい気高さや時折見せる寂しさ、強さと脆さを併せ持った彼女の魅力に、シロや蝶々じゃなくても惹き込まれそう。
印象的なのは咲希が時折呟く「悪くない」。場面場面で込められている意味は違うけど、シロと会う前なら絶対に言わなかった言葉だと思うと、咲希の変化が感じられて感慨深いものがある。
2巻も良かった。雰囲気が最高なので細かいことは気にせずそれを楽しめば良いと思う。