いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



三匹のおっさん

「三匹のおっさん」有川浩文藝春秋
三匹のおっさん

「三匹のおっさん」とは……
定年退職後、近所のアミューズメントパークに再就職した剣道の達人キヨ
道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ
機械をいじらせたら無敵の工場経営者ノリ
キヨの孫とノリの娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待……身近な悪を成敗!

還暦を迎えた男性三人による痛快ご町内活劇。


むちゃくちゃなおっさん達に燃えて萌えるお話。
想像を絶する三匹の戦闘能力はかなりファンタジーなのだが(特にノリさんは反則級)、扱う問題が地域社会の問題や詐欺など現在社会の問題で非常に生々しいためか、意外とリアリティがある。そしてそれらの問題をスパッと解決していくその姿は、これ以上なくカッコよく気持ちいい。痛快の一言。
また、このカッコいいおっさん達は萌えも完備している。
キヨさん=ツンデレ、シゲさん=ツンデレ、ノリさん=親バカ。
頑固親父特有のつっけんどんな態度の中に見え隠れするデレ、これツンデレと言わずしてなんというか。キヨさんもシゲさんも、男としてのプライドと気恥ずかしさが邪魔して、なかなか素直に好意を表現できないもどかしさに萌える。ノリさんは一人冷静かつ素直なおっさんだけど、愛娘が関わった時の豹変のギャップが凄い。いきなり喜怒哀楽が激しくなるその姿は子供っぽくて萌える。
しかし、それを超える萌えキャラが存在する。祐希(キヨの孫)である。彼こそがツンデレ率の高い当作品において最強のツンデレである。お爺ちゃん子と反抗期が見事に合わさったキヨに対する態度はツンデレそのもの。さらにおっさんに達にはないもう一つの要素が恋愛。そうこれは有川作品、“甘味”が入ってないわけがないw
おっさん達の活躍の裏で動く高校生の初々しくて素朴な恋愛模様が素敵なのだが、祐希くんはここでも大活躍。早苗(ノリの娘)との距離を測りかねてモヤモヤする様子や早苗のちょっとした態度で浮かれる様子にニヤニヤが止まらない。
面白かった。400頁超を全く感じないほどあっという間に終わってしまった気がする。ある意味最高のツンデレ本かも。