いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「オルキヌス3 稲朽深弦の調停生活」鳥羽徹(GA文庫)

オルキヌス3 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)
オルキヌス3 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)

「あのな、今ちょうど良い話をしてたんだから空気読めよ……」
「え、空気? 空気は空気としか読めないでしょ? 何言ってるの?」
「空気読めよー!」
調停員としての実績を順調に積み上げつつある深弦は、さらなる実績をモノにするべく、オルキヌス島のさらに奥地へと脚を伸ばす。
そこにはオルカ達が作った街があるというのだが、待っていたのはやっぱり予想の斜め上をいく変な施設に変なオルカ。おまけにセシルの上司だというナオミ・ベル調停員まで現れて……!?
絶好調ネゴシエーションコメディ第3弾、登場!


なんという土蜘蛛無双www
一番初めに深弦と出合ったオルカでありながらここまで活躍のなかった彼が、美味しいところをほとんど一人で持っていきやがった。シリアスや緊迫感はお構いなしにボケ倒すばかりか、萌え(笑)も担当し事件のオチまで掻っ攫うという傍若無人ぶり。グラ子かわいいよグラ子(失笑)


さて、3巻のストーリーは自分の置かれた状況に焦るあまりに実績を求め本質を見失う深弦。
というわけでシリアスモード。
ツッコミ役の深弦の不調で漫才のような軽快な掛け合いはかなり抑えめなのが残念だが、その代わり深弦の芯の強さが感じられるいい話だった。
話の流れからセシルの叱咤やオルカの叱責など言葉で立ち直る展開を予想していたら、まさかの独力復活。しかも、なんとも彼女らしい熱い解決方法。理屈じゃなくて感情で何とかしてしまう辺りオリーブの“炎”という表現はピッタリだ。
そして立ち直ってからはいつも以上の滅茶苦茶さで事件を解決と、前半の暗さも手伝って後半は実にスカッとする内容だった。
笑いという面では少し物足りないが、深弦の強さや豪胆さがいつも以上に感じられたし読後感も爽快で、今回も面白かった。やっぱりこのシリーズは好きだ。
麒麟?の少年や最後に顔見せだけしたリリーアさん、進展も後退もなかった深弦の処遇など、やることはいっぱいありそうで次回も楽しみ。



ところで喫茶店は2巻の冒頭の夢が伏線?