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「世界平和は一家団欒のあとに (9) 宇宙蛍」橋本和也(電撃文庫)

世界平和は一家団欒のあとに〈9〉宇宙蛍 (電撃文庫)
世界平和は一家団欒のあとに〈9〉宇宙蛍 (電撃文庫)

ある日、軋人と柚島は七美から一人の少女を預かるよう頼まれる。
ナナというその少女を、七美は銀河連邦とともに行った惑星探査の際に拾ったという。柚島の家で世話をすることになり、ナナがどちらにより懐くかを無駄に競い合う軋人と柚島だったが、あたりには不穏な気配が漂いはじめ──。
どうやら七美は、その少女をめぐって銀河連邦と対立しているようだった。地球の代表者として、七美は決断を迫られる。一方、弟である軋人の取る行動は!?
満を持して、一家最強、天下無双の七美メイン巻です!


真打登場。星弓家最強(にして強すぎて使いにくくわりと影が薄い)次女七美のターン
いつもどおり問題のスケールは無駄にでかくて、いつもどおり家族愛のハートフルストーリーだったのに、いつもより静かだった。
美智乃と刻人不在でメインキャストが大人だったこともあるのか、がむしゃらに動くと言うよりは悩んだり考えていた時間が長く、それぞれが納得してから行動していたのが印象的。だからなのか長女彩美が七美を想う言葉も、七美が軋人にかけた言葉もいつも以上の重みがあった。
そうかこれが七美の素顔か。謎の少女ナナを通じて見えた七美は思っていたとおり、いや思っていた以上に不器用だった。普段は傍若無人な振る舞いばかりだけど、不器用さも優しさもやっぱり星弓家の人間なんだなぁとしみじみ。
そうそう、我らが柚島嬢は4巻以来の教育ママさんでした。普段はどんなことでも平然としてるのに子供相手だとマジ凹みする姿が可愛い可愛い。
でも、それより今回は柚島と軋人のセットの方が微笑ましくて、二人のシーンはニヤニヤしっぱなし。
8巻も一部そうだったけど、安心しきっているというか甘さより穏やかさの方が濃い空気が流れてる。しかも言い争いもすでに犬も喰えないレベルに到達してるし。彩姉が入ってきた時にぼやいた気持ちがよーく分かる。
今回も面白かった。家族愛と夫婦喧嘩(仮)で大満足な一冊。
しかしこのあとがき、次が最終巻?