いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ありすとBOBO ―猫とマグロと恋心―」川恕W康宏(GA文庫)

ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- (GA文庫)
ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- (GA文庫)

「マグロの本当の旨さを知ってるのは日本人だけだ! 昨日今日魚を食い始めたやつらにマグロを食う資格はねぇっ!!」そう猛り叫ぶ魚屋を、マフィアは冷めた目で見つめ返し、こう言った。「ただの魚よ」と。
魚屋とマフィアがマグロの覇権を争う中、サウスエンドの狂犬女子高生・狗頭蘭子は別のことで真剣に頭を悩ませていた。――同級生の鰯田君とどうすれば仲良くなれるか――ということをだ。アリスの保護者カナディアングリズリー(日本語堪能)のボーボーは、こう感想を漏らした。
「アリスも恋する雌なんだねぇ……」
「雌って言うな!!」
マグロを巡る珍騒動とアリスの鯉の行方はいかに!?


「なんじゃこりゃ?」としか表現のしようがないバカ小説。
今より少し未来で今より少し治安の悪い東京を舞台に、ある探偵事務所のかなり変な人達のアグレッシブな日常を描く痛快アクションコメディ。女の子が銃をぶっ放してたり、クマが喋ったり、魚屋とマフィアが抗争してたりする。・・・うん、自分でも何言ってるのか分からなくなってきたw (読んだ後で知ったのだが、2004年に出た「Alice」(電撃文庫)という作品の続編らしい。どうりでカオスな設定のわりにキャラや舞台の説明が少ないと思った。)
こういう書きたいことを詰め込んだような作品は好きになれないことが多いのだが、これは違った。
バカはバカでもけれんみのない気持ちのいいバカで、勢いがあって読んでいてスカッとする。特に魚屋がマフィアを殲滅していく時の清々しさは最高。
惜しむべくは、狂犬といわれる主人公アリスが可愛らしい姿ばかりで、ギャップ萌えを感じられるほどの強さが感じられなかったことか。
結局何がしたいのかよく分からなかったけど、気分爽快だったからそれでいいや。