いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ハロー、ジーニアス」優木カズヒロ(電撃文庫)

ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)
ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)

「キミを我が第二科学部にスカウトしたい」
陸上の特待生として入学したものの脚を故障した竹原高行に唐突な勧誘の声がかかる。勧誘主の名は海竜王寺八葉。彼女は常識外れの優れた頭脳をもつ“ジーニアス”だったが、無謀な色仕掛けをしたり、まったく物を片付けなかったり、実験に没頭するあまり風呂にも入らないという、行動も常識外れの女子だった。
仮入部した第二科学部で彼女に振り回される高行。彼を勧誘した海竜王寺の真意は、そして二人の関係の行方は!?
期待の新人が贈る、さわやか天才×青春ストーリー!


足の怪我で跳べなくなってしまった主人公・高行と、天才ゆえの悩みに苦しむヒロイン・八葉の青春ストーリー。
女の子に振り回されたり、反発しあったり、女の子のために頑張っちゃったり・・・なんという王道。
元々王道青春ものは大好物だけど、この作品は二人とも普通っぽくてわりと素直なのがいい。共に卑屈になってもおかしくない状況なのに、相手の言うことは素直に聞き入れるし、怖いものは怖いと言える勇気も持っている。そんな二人だからお互いに自分の傷を晒したり、相手のために頑張れるまでの仲になっていくのがニヤニヤというよりなんか嬉しい。
と、二人の関係を中心とした人間模様は良かったのだけど舞台が微妙。
この複雑な近未来設定は必要だったのだろうか?
時々入るその説明が流れを阻害し、かといって物語に深く関わっているわけでもなく、いったい何のためにあったのか首を捻る。そういえば陸上部では嫌われものの主人公がモテモテだった理由も分からずじまいだったなあ。
大筋は面白かった。でも付属品の意味を図りかねるのでスッキリしないものが残る。