いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「とある飛空士への恋歌5」犬村小六(ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)

イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、クレア。ふたりで。空の果てまで──」かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……!? そしてイスラは「空の果て」にたどり着く。すべての謎が解き明かされる! 超弩級スカイ・オペラ「恋歌」、感動のフィナーレ!!


え?・・・あ、ここで終わりか。こういう終わり方なのか。
自分の中のイメージでは『追憶』が映画なら『恋歌』は連ドラ。映画でこの終わり方は大いにアリだけど、連ドラでこの終わり方はナシかなあ。間違いなく綺麗な終わり方ではあるから、どこまでいっても好みの問題だけど。


と、最後は好みとは少し外れたが、道中は感動の連続、泣き所の連続だった。
戦争後、残された生徒達が亡くなった人、連れ去られた人、隣にいる人、誰かが誰かを想い頑張る姿がどれもこれも切なくて涙が出る。もちろん某ツンデレさんも含むけど、彼はどっちかと言うと和ませ要員だったかなw
中でも最も涙腺を刺激したのがアリエル。秘めた想いを伝えることなく常に笑顔で兄の背中を押し続けるアリエルの姿に胸を締め付けられた。そして最後の最後、その笑顔も崩れいっぱいいっぱいの姿にはもう涙が止まらなかった。・・・まあ、その前のチハルのミツオ宅訪問ですでに涙腺は決壊してたんですがね。
そういえば世界の謎やイスラの最後もしっかりけりをつけてくれたけど、前者はおまけで後者は演出装置と化していた。それだけ少年少女たちの物語が素晴らしかった。


『追憶』と同じ舞台の別の恋の物語『恋歌』もこれで完結。
カルのことが好きになれなかったので『追憶』ほどのめり込むは出来なかったけれど、何度も何度も感動させてくれる素敵な物語でした。



犬村先生、『レヴィアタンの恋人』の続きを書く気はまだあるのだろうか。