いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「僕の小規模な奇跡」入間人間(メディアワークス文庫)

僕の小規模な奇跡 (メディアワークス文庫)
僕の小規模な奇跡 (メディアワークス文庫)

「あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから」
彼女に告白し、そして奇妙な条件付きの返事をもらった瞬間から、僕は彼女の為に生きはじめた。この状況が僕に回ってきたことが、神様からの贈り物であるようにも思える。この結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。
入間人間の名作が、『六百六十円の事情』『ぼっちーズ』でコンビを組んだ宇木敦哉のイラストによって、待望の文庫化!

大学生の兄「俺」とフリーターな妹「私」、二人の視点がころころ入れ替わりながら進む青春小説。二組のカップルと過去の事件が奇妙な繋がりを見せていく・・・。



なんて重々しく紹介してみたが、基本的にはお気楽バカップル小説。ちょっと、いや大分変な性格の人たちではあるが、恋の始まりには違いなく、ニヤニヤ度高め。過去も現在も事件は起こるのに、まったく重さを感じないのは、間違いなく僕と俺の性格のせいだね。
クセの強い個性的なキャラばかりが出てくるが、ツン99%デレ1%の三白眼な「俺」の彼女がお気に入り。
普段罵倒しかしないドSな方なので、ほんのちょっとした譲歩がデレに見えてしまう不思議。妹視点で見える人付き合いに慣れていない過度に緊張した様子は、兄視点とのギャップが凄く、あんなこと言いながらも嫌じゃないんだというのが垣間見えてこそばゆい。
もう一組のカップルは、本人たちはそう思ってなさそうだけど似たものカップル。お互いにちゃらんぽらんな言動な割に、相手の機微に敏かったり変なところでネガティブだったりと、不安定なところが人間臭くていい。
まあ要するに、どっちのペアもニヤニヤな訳で。
『六百六十円の事情』同様、入間作品にしては文章も非常に読みやすく、500ページ弱のボリュームを感じないほど楽しくスラスラ読めた。
数奇な運命によって手繰り寄せられた二組のカップルには幸せになってもらいたい・・・と思ったら、文庫版おまけエピソードの終わりが不吉なんですが。



エピローグのタイトルでワロタw 実はこれが言いたかっただけなんじゃ?