いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「カミオロシ 〜縁結びの儀〜」御堂彰彦(電撃文庫)

カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)
カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)

神社にまつわる恋愛成就のおまじないの噂。その神社に課外活動で訪れた生徒たち。その中に玖流緋澄と識読美古都はいた。学年で双璧をなす秀才、才媛の二人だが、顔を合わせば皮肉の応酬となる間柄。おまじないとは無縁の二人だった。
神社に訪れたほかの生徒たちは奇妙な顔ぶれだった。おまじないを信じ、互いを意識する生徒たち。だが、そんな浮ついた空気は一変する。
 他愛のない恋愛成就のそれが、次々と死をもたらしていく。それは呪い、それとも──。謎に迫ろうとする緋澄と美古都の二人が知る真実とは!? 伝承系ファンタジックホラーの登場。


付喪堂骨董店』の作者の1年ぶりの新作はオカルトホラーミステリ。暗く静かな前作の雰囲気はそのままで、ミステリの色を濃くした作品。
時にいつの間にかいなくなって、時に目の前でと、息をつく暇がないほど登場人物が次々と死んでいく怒涛の展開で、予想外(と言っては失礼か)に引き込み力のある、読み応えのある作品だった。
読み物のホラーにあまり怖さは感じないので、ホラーとしての面白さは測り兼ねるが、現実的なものオカルトなもの問わず乱立する推理と、連鎖して起こる死に疑心暗鬼に、恐慌状態に陥っていく人間模様は間違いなく面白い。
特にミステリ部分は オカルトが入っていながら論理的かつ読者が考える余地をしっかり残してあり、後半にはいくつかのミスリードも用意されていて、読み応え十分。それだけに、解答編が混沌としてしまっているのが少々残念なところ(パッと出の刑事が無駄に引っ掻き回したのが悪い)
多くの死と後味が苦めなラストで重い話ではあるが、玖流と美古都のやり取りなどライトな部分もちゃんと残っていて、ライトノベルとして十二分に面白かった。
一つの話としては完結しているけど、メインキャラ達の謎はそのままだから続きそう。電撃に新しく楽しみなシリーズが出来た。