いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「アンチリテラルの数秘術師2」兎月山羊(電撃文庫)

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈2〉 (電撃文庫)
アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈2〉 (電撃文庫)

「私はまだ、“φ(から)”のままなんだ。……こんなふうに思うのは、きっと君に出会ってからだ」
あの事件から数ヶ月。文化祭のクラス劇で、雪名はヒロイン役に抜擢された。俺には少しずつ心を開いているものの、ずっと孤独に生きてきた彼女はなかなかクラスに馴染めずにいる。
そんな時、俺は“歪んだ無次元数(スカラー)”を見ることになる。連なる赤い数値の鎖で繋がれた、奇妙な人間たち──。
平和になったはずの東京に再び現れた、“集合”の災厄の数(アルヘトス)。“無限の力”をも喰らおうとする、雪名の天敵。新たな戦いに身を投じる雪名に、俺は何ができるのか。
“数”の異能力アクション、第2弾開幕!!


雪名さんってば随分と可愛らしくなちゃって。
今回の雪名はバトルモード<日常モードで、誠一への依存度がいい塩梅。べったりではないけど、他人とのコミュニケーションがままならず、誠一に頼るときの弱々しさにニヤニヤ。
もう一人の・・・あれ? ブラコン気味の妹さんはどこ行った?
ストーリーは、学園異能バトルものとしてオーソドックスになっていて1巻よりも分かりやすくなった。異能に数学の用語がたくさん出てくるので(それだけでワクワクしてしまうのは理系人間の性)、他はベタなくらいの方が読みやすい。
ただ、集合を使ってこの能力なら、主に中高生が読むのだし、大学以上にならないと出てこない写像なんて出さなくても、帰属a∈Aや包含A⊂Bなどの基礎的要素やA∩Bなら拘束力が強まるとか単純な設定でも良かった気が。・・・そうすると、ブルバキの名前を出した意味が薄れるし、安っぽくなる危険性もあるのか。バランスが難しいところか。
数学がふんだんに入った異能バトルはツボで、日常パートも思っていたよりいい感じ(特に雪名が)、横の繋がりや友情をテーマにした内容もよく、1巻よりも面白かった。