いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「バベル」中田明(電撃文庫)

バベル (電撃文庫)
バベル (電撃文庫 な 16-1)

国家解体後、連邦制が導入された日本。異国人で溢れる関東州スピアシティでは、クリスマスの喧騒の裏で国を揺るがす2つの事件が起こっていた……。
1つ。没落日本が再起をかける式典で、英国女王に献上する国宝「肺魚」の盗難。
2つ。州を牛耳る2大マフィアが、同盟の契りとして政略結婚させられるはずの娘「スーシャン」の誘拐。ともに事件解決へのタイムリミットは、聖なる夜が明けるまでわずか24時間。
そこに首を突っ込んでしまったのは、ハッカーお嬢様と元マフィアの少年、暴力治安官、キザな探偵、不良シスターetc……そんな悪い人たちの長く騒々しい1日を描いたブラックコメディ群像劇!


雰囲気は好き。
治安の悪い地下街やマフィア同士の抗争というハードボイルドな世界観に、メインで視点になるメンバーのお嬢様+少年や問題児女性治安官のキャラから感じるライトノベルらしい軽さもあり、がっつりハードボイルドというよりは、ハードボイルド風に留められていて読みやすい。
それに続々出てくる濃いキャラや2つの事件が次第に絡み合っていくストーリーにも惹かれていく、、、ところまでは良かったんだけど・・・。
大筋はいいのに、事件の経過や推理の過程など全体的に雑な印象を受ける。
1冊に納めなければならないのは分かるが、治安官リズがいくらなんでも運が良すぎたり、切れ者お嬢様・ユリの推理の軌道修正がかなり強引だったりと、所々ご都合主義に感じてしまう。
新人の作品だから難しいだろうけど、作風は好きなだけに2冊に分けて事件を丁寧に描写して欲しかった。