いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「アンチリテラルの数秘術師3」兎月山羊(電撃文庫)

アンチリテラルの数秘術師 3 (電撃文庫 う 5-3)
アンチリテラルの数秘術師 3 (電撃文庫 う 5-3)

「私達は無自覚に、目に見えないi(ウソ)を必要として生きているんだよ」
仲間でやってきた北海道旅行。様子のおかしい雪名に、俺は歯がゆい気持ちでいっぱいだった。彼女は俺との“殺害の約束”を疑っているのかもしれない──そう思った折、町が歪み始める。
現れる無数の化物。数秘術(アルケニック)が使えなくなる雪名。NPCのように機械的な、町の住人たち。そして現れる、“虚数”の災厄の数(アルヘトス)。
彼との出会いで、俺と雪名は互いの本当の気持ちを知ることになる。
“数”の異能力バトル、第3弾登場。

二つの淡く儚い恋の物語。



ここまで自然に格好いい主人公と素直で可愛いヒロインというのは近頃珍しいんじゃなかろうか。
恥ずかしい台詞を気持ちよく言い放ち、それに見合うだけの行動をしてくれる誠一はひたすら格好良く、初めての恋に戸惑いながらも、自分の気持ちも誰かの助言も素直に置けとめて誠一の側に立つ雪名は文句なしで可愛い。
それに今回は敵役にもドラマが。
今までは悪役らしい悪役が敵だったが、今回の敵役は運命に翻弄された一人の少年と薄幸の少女。相手を思うがゆえにすれ違い狂ってしまった二人の顛末は、言いようのない遣る瀬無さが募る。でも、彼らのおかげで勘違いはあってもすれ違わずに済んだもう一組にホッとする一面も。
また、アクションシーンも段々と読みやすくなっている。派手さと分かりやすさの両立が出来ていて、特に前半の逃亡劇はスリルがあってよかった。ただ今回は、楽しみにしている数学成分が薄かったのだけがちょっと残念か。
今回も面白かった。文章も段々とこなれてきた印象受ける。
ラスボス?も出てきたし、誠一の秘密もそろそろわかりそうだし、次も楽しみ。