いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「キノの旅 XV ―the Beautiful World―」時雨沢恵一(電撃文庫)

キノの旅〈15〉 (電撃文庫)
キノの旅〈15〉 (電撃文庫)

キノとエルメスは、西に向かって走っていました。大地がほとんど岩なので、舗装道路並みに固いです。段差もなく、どこを走っても道になります。キノは快適にエルメスを走らせ、そして次に進路を塞ぐサボテンをゆったりと避けながら、「もともとは、師匠から聞いた話なんだ」「じゃあ、結構前の話だね」エルメスが言って、キノは頷きました。「だね。師匠はこう言っていた──“とてもとても美しい廃墟があった。岩山の麓に石で作られた国があって、泉から引かれた綺麗な水がまだ水路を流れていた。今でも何万人もが住めそうなほど綺麗な町だった”って」(第3話「過去のある国」より)他全10話収録。


カバーを外して何もないと、とても虚しい気持ちになります。



久しぶりに読んだら―the Beautiful World―という副題がとんでもない皮肉に感じたわけですよ。
何せ、語られるのが毎度人間のエゴばかりだからね。
で、いつもはその中にきらりと光るものがあるのだけど、今回は光が少なかったかなと。
光っているのはフォトだけかな。視覚的には白い国も光ってたけどw



以下各国毎


「見つけてしまった国」
まあ、言わなくても誰かが見つけるでしょう。そして歴史は繰り返される……



「白い国」
穀物なら飽きないけど、動物性たんぱく質は無理か。栄養が偏ると本能的に拒否するのかね?
それより、雪目になりそうだな、とw



「戦って死ぬということ・b」
因果応報なオチが予想されます。



「ケダモノの国」
結局人間の欲が一番ケダモノ、というキノによくある話。
師匠&弟子が正義の味方のようだ! 嘘だ!



「マニアの国」
道具は正しい使用法で使ってあげるのが、製作者にとっても道具にとっても幸せだと思う。使われた結果、誰かが幸せになるか不幸になるかは別の話。



「過去のある国」
歴史は勝者によって作られる。不戦勝でも。



「フォトの日々」
事後にキノが通りかかるだけで、何が言いたいのかよく分からなかったXII巻「雲の前で」のまさかの続き。
危なっかしいフォトとしたたかなソウのコンビが絶妙。この二人の旅も楽しそう。撮影旅行行ってくれないかな。



「ジャーナリストの国」
キノが怒るなんて珍しい。静かに怒るから怖い。



「犯人のいる国」
事件の顛末よりも、(珍しく)エルメスの台詞の方が面白い。



「戦って死ぬということ・a」
ある程度は予想してたけど、想像以上に下種なやり方だった。これは全力でm9せざるを得ない。でも悪いのはもっと上か。
シズの的確なツッコミに苦笑い。



「おしながき」
料理で過去の話を回顧するとは。
そこはかとないネタ○れ感が素晴らしい!(ぇ?