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ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ライトノベルの楽しい書き方10」本田透(GA文庫)

ライトノベルの楽しい書き方 10 (GA文庫)
ライトノベルの楽しい書き方 10 (GA文庫)

ライトノベル作家・姫宮美桜こと流鏑馬剣は、その父である半次郎の突然の帰国によって、ボーイフレンドの与八雲との関係を断たざるを得なくなってしまう。二人の友人である市古ゆうなをはじめ、周囲の人間はただ唖然とするばかり。
そして、八雲はクラゲの研究で世界的に知られている内田章一博士のもとで学ぶためにアメリカで暮らし始めることになり、二人は日米で別れ別れになってしまった。気持ちも離れたままの状態で、剣と八雲の関係は終わってしまうのか?
〆切破りからはじまったラブコメディは、家族、友人、ライトノベル業界関係者もろもろを巻き込み、ついに完結する!


オタネタ満載の会話にギャグ漫画のようなトンデモ展開に9巻のシリアスムードと感動を返せと言いたくなったり、そういえばこのシリーズこんなノリだったなあと思い返してみたり、最後にして100%噛ませ犬の新キャラ登場に何とも言えない渋い気分になったりと、微妙な空気だった最終巻。
それでも、完全無欠なハッピーエンドならそんな空気は吹き飛ばしてくれたんだろうけど、道中の二人のヘタレ具合とらしくない余韻を残したラストに大きな心残りが。最後までヤキモキさせられるのはこの二人らしいとも言えるんだけど、最後ぐらいはビシッと決めてほしかったなあ。
その一方で、二人をサポートする周りの仲間たちの奮闘は文句なしで感動もの。
よくぞここまでと思わせる市古の頑張りを筆頭に、与一家の温かさ、後輩のためにスランプを克服した多々湖、ラスボスだと思っていた半次郎まで娘の後押しをして、ヘタレ八雲とヘタレ剣はどこまで幸せ者なんだと羨んでしまうくらい。
そんなわけで二人の行く末より、市古の幸せを願ったりまるみさんと市古父のその後の方が気になるという、脇役重視のフィナーレだった。八雲と剣はこれ以上周りに迷惑がかからないようにてきとーにイチャイチャしてなさいw