いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー」三河ごーすと(電撃文庫)

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー (電撃文庫)
ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー (電撃文庫)

「奪うことだけが正義なんだよ」
「なぜ奪われる哀しさがわからないの」
地下貧民街に生まれ幼い頃から暴力と略奪の中で孤独に生き、地上で安穏と暮らす人間を憎んできた十七歳のジェイファ。地下を脱出した彼は中流平民街に上がると同時に一軒の豪邸に盗みに入る。しかし冬瀬陽月《ふゆせはるつき》という少女に遭遇、捕縛されてしまう。豪邸の持ち主である冬瀬一郎は、ジェイファを許す代わりにある条件を突きつける。それは陽月と組み『ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー』という、魔術師と戦士の二人一組で相手ペアと戦う競技のプロになることだった!?

第18回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作。



カードゲームの要素が入ったタッグバトル+ボーイミーツガール。
前半は単調で低調。
複雑なゲームルールを始め何かと説明が多いこともあるが、主人公の皿次は吠えてるだけ、ヒロインの陽月はほとんど喋らないと、ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネーとは何ぞやというとこを把握するくらいしかやることがない。
これがいざゲームが始まり出すと一気に面白くなる。
そもそもリベンジ+下剋上+底辺から育っていくタイプの主人公と熱くなる要素は揃っているのだから、盛り上がらない方がおかしいのだけど、それと同時にヒロインの陽月が心を許し始めると一気にデレるのが大きい。
それまでが裸を見られても悲鳴一つ上げないなど女の子らしさを見せなかった陽月が、意外な優しさから始まり、臆病な面、香るほど近づいてくる距離の近さ、気を許した相手への依存度の高さなど、危うさを感じさせる所作が男心をくすぐる。
一方で、完全に好みの問題なのだけど主人公の性格がちょっと。男のツンデレはあまり好きじゃないのと、アウトローな生き方をしていたはずなのにいい人過ぎることに違和感が。
それでも、ライトノベルらしい中二病が入った設定とベタながら熱い展開に儚げで可愛いヒロインと、楽しめる要素がつまっていて面白かった。