いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「陽だまりの彼女」越谷オサム(新潮文庫)

陽だまりの彼女 (新潮文庫)
陽だまりの彼女 (新潮文庫)

幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで──その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさも、すべてつまった完全無欠の恋愛小説。

先々月、読書メーターのランキング上位にあったので購入。



前半は羨ましいシチュエーションの恋愛模様、中盤はバカップル夫婦のベタ甘イチャイチャ、最後はちょっとファンタジーな恋愛小説。
(小説は)甘いもの好きとしてはいい甘さだったんだけど、幸か不幸か1/3程のところでなんとなくオチが閃いてしまったのよね。そうなるとラストに向けての伏線が全部悲しく見えてくるという。そもそも恋愛小説を読んでいるのに、伏線なんて気にしているのがすでに負けなのかも。何でもありのラノベのばかり読んでいる弊害か、それとも高校大学とミステリばかり読んでいた弊害かw
きっと騙された方が楽しめたんだろうな。イチャイチャは純粋にイチャイチャとして甘さを堪能した方が良かったんだろうし、身構えていなければ最後は泣けたかもしれない。
ところで、あらすじに「前代未聞のハッピーエンドへ〜」とあるけど、これはハッピーエンドなんだろうか。
同性の同年代として彼に感情移入して読んでいて、胸にぽっかり穴が開いたような感覚に陥って回復しないまま終わった。最後の最後でちょっとだけ救われたけどプラスマイナスで言ったら間違いなくマイナス。読後感は決してハッピーじゃない。
テンポがよくて読みやすくかなりの甘口、ラストへの筋道や伏線もしっかりしていて全体的には良質恋愛小説だったのだけど、肝心の最後が好みじゃないのが残念。