いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ミニッツ 〜一分間の絶対時間〜」乙野四方字(電撃文庫)

ミニッツ ~一分間の絶対時間~ (電撃文庫)
ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫 お 14-1)

私立穂尾付学園高校一年一組、相上櫻。
一分間だけ相手の心を読める『ミニッツ』能力の持ち主。
“一年生にしてこの学園の生徒会長になる”──そんな大それた野望を持つ櫻は、この『絶対時間』を利用し、クラス内で“頼れるが妬まれない、愛嬌のある委員長”という絶妙な立場を演じていた。
しかしある日、ふとした事がきっかけで、自身の秘密を生徒会副会長の琴宮遙に知られてしまう。
櫻は、遥の弱みを握り返すため、彼女が提案する心理ゲーム『馬鹿と天才ゲーム』に挑む──。
第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞! トリックとロジックが交差する、学園騙し合いラブストーリー!


会話が面白い作品。
出てくるキャラはいい性格だったり、性格が破たんしている奴らばかり。
彼らが繰り出す会話は漫才のようなテンポのいい面白さとは違う面白さ。一見場違いな言葉の真意を読んだり、言葉での殴り合いだったりと個性的。特に主人公・櫻と副会長・遥の腹を探り合いや相手に嫌味をチクチク刺していき、最後は高笑いで終わる会話はどれもかなり面白い。
ただ、もっと言葉の駆け引きや化かし合いなど頭を使う争いが読める話なのかと思ったら、少年少女の心の傷がメインの話だったのかな?
疑問系なのは、主人公は切れ者なんだか抜けているんだかキャラが安定せず、これ要るか?と思う要素や説明が入っていたり、急に能力の秘密に言及し始めたりと話がよく飛ぶので全体像が掴みにくいから。
何がメインでも構わないのだけど、もう少しテーマを絞って欲しかった。詰め込み過ぎでそれも中途半端な気がする。
パーツだけなら面白いところがいくつもあるけど、一冊の本としての出来は微妙。ある意味非常に奨励賞らしい作品だった。