いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「月花の歌姫と魔技の王 III」翅田大介(HJ文庫)

月花の歌姫と魔技の王III (HJ文庫)
月花の歌姫と魔技の王III (HJ文庫)

いつも通りにイルゼシュタイン城を訪れるライルだったが、イルザの策略にはまり、半ば攫われるような形で王家のプライヴェートビーチがある行楽地・へクセンブルグに連れ出されてしまう。最後の魔女・エルルーア所縁の地でもあるというヘクセンブルグでライルはエルルーアの最初の工房を発見する。その始まりの地でライルが見た物とは?

か、カッコいい……。
愛の告白なのに何だこの気迫と凄み。「惚れさせてやる」くらいのものならいくらでもあるだろうが、これほど勇ましい告白がかつてあっただろうか。
と、インパクトがあまりにも強かったのでいきなりエピローグから語ってしまったが、今回はここに限らず女性陣の強さに圧倒させる話だった。
夏休みでロリ王女様にプライベートビーチに拉致られる主人公。ということは水着回でラブコメ風味か?かと思いきや、本命対抗のヒロイン二名が動き出す真ん中少し前からまさかのアクションの連続。最後までノンストップで突っ走るシリーズで最高に熱い回に。
その中で存在感を示したのがここまでイマイチ目立たなかったメインヒロインのルーナリア。
これまで流されるばかりだった彼女が自分の意志で戦う姿が勇ましい。まさか彼女の方が強い女性の筆頭・マリーアを叱咤する日が来ようとは。二人に芽生えた友情が微笑ましいのだけど、どこか男同士の友情みたい。
一方、王女は王女でしっかり者を通り越してかなりの策士。翻弄される周りにニヤニヤ。しかし、シリーズで一番女の子しているのが近衛少尉殿ってどうなのw
プッツン込みだったものの主人公のオレツエーも健在で、キャラがそれぞれに持ち味を出していて今回も面白かった。