いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「“花散里” ヒカルが地球にいたころ…… (8)」野村美月(ファミ通文庫)

“花散里" ヒカルが地球にいたころ……(8) (ファミ通文庫)
“花散里

母との別れを支えてくれた葵を、妙に意識してしまい動揺する是光。そんなところに、「ぶ、文化祭の実行委員に、赤城是光くんを、推薦します」みちるの発言に始まり、月夜子主催の日舞研の出し物、朝衣の特別警護班への参加要請と、文化祭の準備に奔走するハメになってしまう。学校行事には慣れない上に、クラスメイトには避けられ、帆夏も何故か素っ気ない態度。そんな時、資料を差し入れてくれる、正体不明の援助者が現れ――!? 大人気学園ロマンス、第8巻!!

文化祭。級長・花里みちるがメインの話。
のはずだったのだが、みちるの目立たないことと言ったら。
メインをそっちのけにして、三角関係を演じる素直じゃない三人。前回のラストを意識しすぎて変な空気になっている是光と葵に、自分に素直じゃないばかりに是光と離せない帆夏。三人揃って不器用で“いい子”。
「このままじゃダメなのに、どうしていいのかわからない」という想いがこの本のそこら中から感じられるのが切ない。そして、思い切って現状打破しても切ない方向にしか行かないという。あーもどかしい。
だがしかし、そんな三人すらも霞ませる離れて恋する乙女を演じる一名。
朝ちゃん、本気でデレてたんだね。パワハラ上司っぽい人(しーこ談)がこんな恋愛初心者な顔見せるは反則だ。可愛すぎる。
……って、これ普通のラブコメじゃないか。
もちろん嫌いじゃないが“約束”と愛憎の憎の要素が薄いと、是光がそこらに腐るほどいる鈍感主人公になってしまうのがちょっと嫌だな。
と、思っていたら次は思いっきりドロドロしたものが混じりそう。「一朱」たった二文字七画で人をいやーな気持ちにさせる彼はこの作品で最も濃いキャラかもしれない。
あと二巻、是光が答えを出すことは公言されているので、三角いや夕雨を入れた四角関係の行方が気になる。朝ちゃんは最後まで蚊帳の外の予感。



ところで、しーことこるりはどうなった?