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「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン IV」宇野朴人(電撃文庫)

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (4) (電撃文庫)
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (4) (電撃文庫)

北域での地獄のような戦争を生きぬき、多くの犠牲を払いながらも中央に生還したイクタたちを待っていたのは、厳正なる軍事裁判だった。そして裁判のあと、サザルーフは軍の高官たちに、ある突飛な要請を提案する。実はそれは、密かにイクタから託されたもので――。
やがて帝国騎士の少年少女たちは、複雑な内政問題や激しい海戦に巻き込まれていくことになる……。
話題沸騰の本格ファンタジー戦記、ついに4巻が登場。これまでとは異なる戦いに立ち向かうイクタたちに注目せよ!!


前回までの事後処理で政治の話と、次の海戦への序章。
そんなわけで一旦クールダウンの回。ずっと緊張状態ってわけにはいかないから、こうやって弛緩する回もないとね。2巻の中盤から展開的に挿みようがなかったコメディパートがあるのが地味に嬉しい。コメディ時のイクタは別の意味で最強だわw
そして、ある種繋ぎの回だったからなのか、今回の主役はいつも中々日の目を見ない姫さまとマシュー。
姫さまは地方の汚職事件を暴く!。
いつもはイクタの影に隠れてしまうが、メンバーきっての頭脳派の面目躍如。と、彼女の活躍を手放しで喜べる話なら良かったのだけど、どちらかと言うと彼女の心の闇を浮き彫りにする話なのが切ない。
地方自治の腐敗から腐りきった軍国の状況が垣間見えて、さらにそこから聡明な彼女だからこそ感じてしまう国民の意識へ。「裏切られたという感覚すら抱かない」って重いな。日本もこれと似たようなところまで来ている気がする。
一方のマシューは実家で海でと大忙し。
実家でも濃〜い母上の相手と地元での意外な人気で目立っていたが、本番は後半。
イクタでもヤトリでも姫さまでもなく、マシューが講釈する日が来ようとは。海軍や艦船に置ける知識が半端じゃなく、その知識からしっかり戦況の先読みも出来ている。何が凡庸だ、十分に有能じゃないか。
最後にちゃっかり新キャラとのフラグを立てて入ったけど、、、この作品だと死亡フラグにしか見えないんだよなあ。ぽるみん早々に退場で泣くマシューの図が容易に想像出来てしまう……。
次は海戦本格化で緊迫必死。期待大。



で、ハロの出番はいつなの? というかこの先彼女がが目立つ場面はあるのだろうか? ま、まあ、今回表紙だし。すでに空気にすらなっていない精霊に比べれば(虚しい