いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法少女育成計画 limited (後)」遠藤浅蜊(このライトノベルがすごい!文庫)

魔法少女育成計画 limited (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)
魔法少女育成計画 limited (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

追う者と逃げる者。命を賭けた“追いかけっこ”は、今まさに最高潮を迎える。次々と倒れていく魔法少女たち。刻々と近づくタイムリミット。状況は常に変化し続け、三つの陣営の思惑は入り乱れる。敵味方の立場さえも激しく入れ替わる血みどろの戦いの果てに、最後まで生き残るのは、そして目的を遂げるのは誰なのか? 話題のマジカルサスペンスバトル、第三幕の完結編!


さあ、始まりました。本格的なデスゲーム。
双方殺す気はなかった急造魔法少女6名と探索者チームの間に、殺す気満々の脱獄犯チームが入ったことにより、街を破壊しつくさんばかりの壮絶バトル。オープニングから景気付けとばかりに、サクッと死んでいくこのえげつなさ。
しかも急造チームには一人の犯罪者が入っている、探索者チームは後篇が始まった時点ですでにバラバラ、極悪人揃いの第三勢力も一枚岩には程遠くと、三陣営それぞれに問題抱えていて、奇襲や裏切りは当たり前。どこから誰が誰に攻撃を仕掛けてくるか分からない。まさに地獄絵図。
その最たるものが犯罪者の正体。前編の口振りから特に疑いもしないでウェディンだと思ってた。今回の表紙だし。
また、デスゲームの行方も戦闘が得意な魔法少女から死んでいく予想不能な事態に。
これは、強者の心情を描写するより、心根が小市民な魔法少女の恐怖を描写した方が悲壮感や絶望感が増すからか。やっぱりえげつないわー。強くても狂者は死なないのも同じ理由だろう。
でも今回は、いつもに比べて結構生き残りそうだなと思い始めた終盤。そんなことは許されなかった。
意地と仇と正義感。理由はそれぞれでも、逃げていいのに立ち向かって次々と死んでいく魔法少女たちの姿が遣る瀬無い。
そんな「うわぁ……」と呟きたくなるラストバトルの後には衝撃エピローグが待っている。
全部彼女の掌の上だった……だと!? それにスノーホワイト再登場フラグが立ったのはいいが、無印メンバー同士で殺し合いさせる気満々じゃないか。どこまでも意地が悪い(誉め言葉
「面白い」と言っていいのかこれは。とにかく今回も凄いものを読ませてもらった。