いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔王殺しと偽りの勇者2」田代裕彦(ファミ通文庫)

魔王殺しと偽りの勇者2 (ファミ通文庫)
魔王殺しと偽りの勇者2 (ファミ通文庫)

《勇者候補》も残すところ、不死身と噂される《傭兵》と、かつて王宮に勤めていた《大魔導師》の二人となった。この中に魔王を倒した真の勇者がいる――すぐにでも行動を起こしたいエレインだったが、相も変わらずユーサーの腰は重い。そんな態度にしびれをきらし、エレインは一人で〈傭兵〉ダリオンに会いに行くのだが……。各人の思惑が錯綜する中、すべての事柄はひとつに繋がり、隠された真相が浮かび上がる――。証言の矛盾を突き、嘘を暴く疑惑のミステリアス・ファンタジー第2巻!


4人の勇者候補から本物の勇者を探すファンタジーミステリ第二弾。
いやー、エレインのちょろさと健気さがそりゃもう可愛くて可愛くて、ニヤニヤしてしまいますな!
ちょっとからかわれただけで逆上したかと思えば、珍しく褒められると頭に耳がお尻に尻尾が透けて見えそうな勢いの喜びよう。しかも内心を覚られないようにと無駄な努力をしているのが尚更可愛い。
それにユーサーの思考についていこうと必死で考える姿も。この巻の初めは1巻と同様に遊ばれているだけで、それはそれで楽しいのだが、真面目に頭を使いだすとみるみる成長していって、ユーサーとの会話がちゃんとミステリっぽくなって違う楽しみが出てくる。なるほど誉めれば伸びるタイプか。
しかし、最後に一矢報いるところまでいくとはね。ラストが痛快で読後感が素晴らしい。
また、犯人(勇者)探しのミステリとしても、最近流行りの日常ミステリという名のなんちゃってミステリとは一線を画す丁寧かつ論理的な作りで読み応え十分(日常ミステリの中でもしっかりとしたものは当然あります)。おかげでやっぱりファンタジーと思えない地味さなんだけど(^^;
キャラクター小説としてもミステリとしても面白かった。続く可能性もあるようなので、二人のコンビのさらなる活躍に期待したい。