いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「神滅騎竜の英雄叙事詩」湖山真(このライトノベルがすごい!文庫)

神滅騎竜の英雄叙事詩(サーガディア) (このライトノベルがすごい!文庫)
神滅騎竜の英雄叙事詩(サーガディア) (このライトノベルがすごい!文庫)

大陸の約三分の一を版図とするアルタニア神聖国。この地には二百年ほど前から、毎週「災曜日」に巨大な異形の怪物「災神」が現れる。災神は都市を襲い、建物を破壊し、人々を殺戮するが、日付が変わった瞬間に靄のように消え失せてしまう。災神に立ち向かうことは人間にとってほぼ不可能で、せいぜい24時間誘導し続け、被害を減らすことが精一杯だった。だが唯一、竜と契約して「竜騎士」となった者だけが、神を斃せる力を行使できた――。


あー、なんだろう悪くないのに違和感が多いこのもどかしい感じ。
パーツはどれも良かった。
男女なのに色気はないが、学生時代の主席と次席が再会し、お互いを尊重しあったり駄目なところを指摘しあったりして、抜き抜かれつの成長をしてピンチを脱していくストーリー。好き。
人の弱いところ汚いところも隠さず書いて、それがストーリーの中核を担っている人間ドラマ。良い。
災神という凶悪な敵の絶望感や、渋くて頼りになる上官に頼りないが愛嬌はある部下などの個性ある脇役たち。良い。
しかし、それらのパーツが噛み合っている感じがしない。
メインの二人に全くその気がないのに脇役二人だけが恋愛モードで、その二人が完全に空回っていたり、災神の諸設定がストーリーにあまり反映されていなかったり……。
災神には「週に一回決まった日に来る」や「女性を狙うので囮になる為に女性騎士は薄着」という設定があるのだが、他の曜日の描写が少ないの週一である必要性を感じないし、男性女性関係なく襲われている。薄着もそれが強調されたシーンや挿絵はないし、触手が出てきたりしてエロ展開になったりもしない。そもそも話が真面目な雰囲気で、エロを入れるような空気ではないが。話を変えていくうちに形骸化して残ったのか続編でこの設定を使うつもりなのか、この本単体では無駄だなあと思う説明が多かった。
メインキャラクターとサブキャラクター、設定とストーリーがそれぞれ違う方を向いている感じ。そこのすり合わせが出来ていれば、素直に面白かったと言えたのに。