いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「“藤壺” ヒカルが地球にいたころ…… (10)」野村美月(ファミ通文庫)

“藤壺" ヒカルが地球にいたころ……(10) (ファミ通文庫)
“藤壺

『わたしとあなたがはじまった場所へ。あなたが裏切った場所へ。約束をはたしに来て』――是光の携帯に届く、"藤乃"から"ヒカル"に宛てたメール。そこには、紫織子の写真が添付されていた……。信州に向かい、藤乃と対面した是光。そこへ藤乃を名乗り紫織子を誘拐した人物の情報がもたらされる。彼女の真意は何なのか。はたされなかった約束とは。ヒカルが命を落とした場所で、すべての秘密が暴かれ、そして――。感動のクライマックス!!

最終巻。



読み終わって「ふー」と一息。ヒカルのことに関しても、最大の関心事に対しても喜びもあるけど安堵感も強い終わり方だった。
ヒカルの“最愛”を救う物語からの、ヒカルと是光、共に初めての友達との笑顔の別れと、これ以上ない大団円。笑い泣きとはいえ、まさかあの嫌いだったヒカルに泣かされる日が来ようとはね。
その他にも
いい感じに狂っていた真犯人・六条。心を入れ替えてもやっぱりウザいという印象しか出てこない一朱。感動的なシーンでもツチノコパークを引っ張る鬼畜是光。夕雨や葵の頑張りとその後の切なさと強さ。エピローグまで相変わらずで、これは一生このままだなと思わせた朝ちゃん。
などなど、語りたいこと語れることはいくつもあるけど、一番言いたいのはこの言葉。
帆夏、おめでとう。
前作の不遇のヒロイン・ななせと立ち位置がそっくりな帆夏に(野村先生は否定してたけど)、どうしてもななせを重ねてしまっていたので“文学少女”+ヒカルで26巻分の想いが成就したような気分。もうこれだけで最高のハッピーエンドだ。挿絵も見開きでありがとうございます。
後日談は……ないだろう。帆夏のその後だけは激しく読みたいが、メインストーリーとしては完全に蛇足になるもんね。
兎にも角にも、切なさが混じる人も多いけれど、みんなが笑顔で終われるラストで良かった。