いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「アナザー・ビート 戦場の音語り」佐原菜月(電撃文庫)

アナザー・ビート 戦場の音語り (電撃文庫)
アナザー・ビート 戦場の音語り (電撃文庫)

“旋律士”――。
それは生まれながらにして旋律器官と呼ばれる特殊な紋様を身体に刻み、その器官から“音楽”を生み出すことのできる特別な存在。
戦乱終結から15年、不平等な条約により騎士団を解散させられた王国にあって、貴族達が血眼になって欲する権力の象徴は「楽団」を抱えることであった。
類まれなる才能を秘めながらも上手に音を操れない落第音学生の少女コハクと、貴族ご用達の有名作曲家・ヂェス。音楽祭で出会った二人の運命は、やがて大国が争う新たな戦乱へと巻き込まれていく。

音楽を題材にした丁寧につづられたファンタジー



うーん、悪くはなかったとは思うんだけどねえ……すみません、途中で集中力が切れました。
見た目からして厚い500頁弱のボリュームに、出だしのボーイミーツガールに祭りの高揚感が合わさった申し分ないワクワク感。序盤の期待度はうなぎ登りだった。
ただ、その後が丁寧過ぎた。
同じような内容の伏線を何度も張られても、先が読みやすくなるだけで良いことないんだよなあ。話も遅々として進まないし。500頁弱のうち真ん中は100ページくらい削れそう。折角物語に入り込めていたものが、そこで夢から覚めるように溶けてしまった。
おかげで後半は、これだけ優秀な人材がいるなら他にやり様があるだろうとか、独裁者の暴走なら暗殺だよなあとか、飛行船上のやり取りを下の兵士たちはどうやって見聞きするんだろうか?とか細かいところが気になってしまった。集中できていない証拠だね。
音楽の話ということで、感覚的なところが掴みづらかったというのもあるが、やっぱり「中盤が冗長」これに尽きる。厚い本は大好きだが、無駄に厚いのは嬉しくない。