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「着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活」はまだ語録(このライトノベルがすごい!文庫)

着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活 (このライトノベルがすごい! 文庫)
着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活 (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔術士の名家に生まれながら、魔力を持たない黒髪として蔑視されてきた夢野幸太郎。両親の死をきっかけに、彼は血の繋がらない義妹二人をつれて、田舎で静かに暮らすことを決める。しかしなぜか幸太郎は熊の着ぐるみ姿になっていた! 戸惑う姉妹との奇妙な共同生活が始まる! 強力な魔術士でもある双子姉妹と落ちこぼれの兄の暮らしはうまくいくのか?
第5回『このライトノベルがすごい!』大賞・最優秀賞受賞作。


どこか秀でているというよりかは、完成度が高いタイプの最優秀賞。
魔法が生活基盤に組み込まれている現代風の世界観に、主人公は落ちこぼれに見せかけた最強魔術士という大変どこかで見たことのあるような設定であるが、路線が違うのでさほど気にならない。今時、設定で独自性を出すのは難しくなっているので被るのは仕方がない。
内容は、主にホームコメディでありメインテーマは家族愛(たぶん)。魔法があって、しかも戦闘向きの能力でありながら、アクションは最小限。あくまで兄と義姉妹の交流を描く道具として使っているのが独特。戦い戦いになるより個人的には好ましいが、売れ筋かどうかは微妙なところ。
最大の魅力は、活発な姉・マリアと聡明な妹・アリスの双子姉妹。
兄・幸太郎に対してマイナスの印象から始まった共同生活の中で、ちょっとしたきっかけで少しずつ心を開いていく過程が微笑ましい。13歳という年齢よりちょっと幼く感じる二人なので、小さい子を見守る感じで自然と顔がほころぶ(断じてロリコンではない)。そして彼女たちに感化されるように、家族に虐げられてきた幸太郎も……。
冒頭ではまた魔法使いでまた似非劣等生かと思ったが、予想外のストーリーで温かみのある作品で良かった。
エピローグで出来た二人のキャラが濃いのでラブコメ路線も面白そうだが、続きはあるのかな?