いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「GOSICK BLUE」桜庭一樹(角川書店)

GOSICK BLUE
GOSICK BLUE

1930年夏、長い船旅を経て、ついに新大陸にたどり着いたヴィクトリカと一弥。着いて早々、奇妙な格好をした男に出会い、新世界の成功を象徴する高層タワー〈アポカリプス〉の完成披露パーティに連れていかれることになった。しかし、豪華なパーティの最中、突然エレベーターホールが爆発し、ヴィクトリカは最上階に閉じ込められてしまう。不気味な犯行声明が示す、爆弾事件の真相とは?
最上階と地下、離ればなれになったヴィクトリカと一弥の運命は――!?

GOSICKの新シリーズ第二弾。
第一弾のREDの続き……ではなく、ヴィクトリカと一弥がアメリカに到着したその日に巻き込まれた事件の顛末が語られる。



GOSICKの文章ってこんなにテンション高かったっけ?
戦後のアメリカ、アメリカンドリームという言葉が一番似合った時代が持つ高揚感を表現しているのだろうか。その空気がGOSICKのイメージと違ってかなり面食らった。でも、その浮足立った空気に同じように乗れていないヴィクトリカと一弥と同じ気持ちなれた様な気がするので、これはこれで有りな演出なのかも。
物語はアメリカンドリームの象徴となる人物、煙草産業で一代で財を築いたイタリア移民の女傑を巡る事件。
急激に伸し上がったカンパニーということで恨みを持つ人間も多く、一時は「オリエント急行の殺人」のような様相を呈したが、そこはGOSICK。犯人は早々に分かって、ヴィクトリカの頭脳と一弥の冒険がメインで話が展開する。
いつものように推理が冴え渡るヴィクトリカキチガイじみた女傑・ラーガディアのやり取りにハラハラ、大人になってもヴィクトリカ一直線で自ら危険に突っ込んでいく一弥にハラハラで、手に汗握っているうちにあっという間に読み終わってしまった。やっぱりGOSICKは最高の冒険活劇だ。
また、合間合間で語られる過去や心情、二人がアメリカを目指した理由や、それぞれの想いに切なくなったりキュンキュンしたりできる、シリーズものだからこそ楽しめる要素も満載。
「あれ?なんか違う」から始まったけど、終わってみればやっぱりGOSICKだった。面白かった。


REDが伏線が多く残る上巻のような作りだったので、上下巻構成かと思いきや、今回は始まりの物語。これはシリーズものとしてタイトル(色)を変えてしばらく続くのかな? それなら嬉しいが。