いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「俺の教室にハルヒはいない4」新井輝(角川スニーカー文庫)

俺の教室にハルヒはいない (4) (角川スニーカー文庫)
俺の教室にハルヒはいない (4) (角川スニーカー文庫)

「ユウは練馬さんの特別な人間じゃなくなるかもしれないんだよ?」マナミさんの心配通りカスガは声優として活躍を始め、俺から遠ざかっていく。行き違いから凹む俺に清澄は、学級委員の麻布さんが俺に興味を持ってると告げる。それを聞いてすぐ麻布さんは電話で俺を夏休み中の学校へ呼び出す。「まさか告白?」とやって来た俺を待ち構えていたのは好意ではなく、殺意の刃だった……。ただの人間のための青春ストーリー、感動の完結!


これまで特に深い意味はなかった『涼宮ハルヒの憂鬱』が、ここにきて存在感を放つとは。
あらすじでもしやと思ったら本当にやりやがった。そういえば苗字も似せてるや。リスペクトするのにも、このシーンを選ぶセンスと、これを日常に落とし込んで話が破綻しない構成に脱帽。
そしてユウの成長の物語の締めくくりにもハルヒ。『涼宮ハルヒの憂鬱』の考察に絡めたユウの自己評価の変化にはグッとくるものがあった。
でだ、
これで終わり? ふわふわした作品がふわっと終わっていった。
ユウの確かな成長があって、学園モノアレルギーへの答えも出てる。でも、当然ながら日常は普通に続いているし、ラブコメの視点から見ると何の答えも出ていない。この「なんとなく終わり」な感じが、このシリーズらしいと言えるのかも。
まあ、人生長いからね。選ぶのはもっと先だよね。
キャラクターとしてはマナミの方が好きだけど、上手くいきそうなのはカスガかな。エピローグの強烈な天然っぷりが、カスガはユウの幼馴染みなんだと強く印象付けるだったので。カスガと二人で縁側でお茶を啜っている姿は容易に想像できる。カグヤザカ先輩はユウが真面目に認識するつもりがないから無いな。
久々に新井輝作品の空気感を十分に堪能できる作品で、とても面白かった。