いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「下読み男子と投稿女子 〜優しい空が見た、内気な海の話。」野村美月(ファミ通文庫)

下読み男子と投稿女子 -優しい空が見た、内気な海の話。 (ファミ通文庫)
下読み男子と投稿女子 -優しい空が見た、内気な海の話。 (ファミ通文庫)

平凡な高校生の青は、実はラノベ新人賞の下読みのエキスパートだ。そんな彼は、ある日応募原稿の中に、同じクラスの氷ノ宮氷雪の作品を見つける。“氷の淑女”と呼ばれる孤高の少女が、フォント変えや顔文字だらけのラノベを書いて投稿している!?驚く青だが、その後ひょんなことから彼女の投稿作にアドバイスをすることに。評価シートに傷つく氷雪をあたたかく導き、世界観、キャラ設定、プロットと、順調に進んでいくが……。爽やかな青春創作ストーリー!

ライトノベルの新人賞の下読みの仕事をしている少年と、投稿を初めてから一年間一次で落ち続けている少女、読み手と書き手の青春ラブストーリー。



青くんが眩しすぎて直視できない!
ライトノベルは世に出てくるものでも当たりハズレが激しくて、中には途中で投げ捨てたくなる作品があるっていうのに、この主人公は一次選考の段階の作品で、どんな作品でも面白さを見つけ出し本気で楽しめてしまう。自分には逆立ちしても無理ッス!\(^o^)/
野村作品の中ではウザくない男主人公で当たりの作品だったのだけど(←この書き方がもうダメよねw)、負の感情が無さすぎな彼には一切共感は出来なかった。
その代わり、ヒロインの氷雪は感情の動きが分かりやすく共感しやすかった。話は青視点の方が多いが、青春ものとしては氷雪が主人公と言った方がしっくりくる。
彼女が少しずつ青に惹かれていく様子や、勇気が出たり引っ込んだりする激しい浮き沈み、そして圧倒的なネガティブ思考は「あるある」となると同時に、思わず応援したくなる。この辺りの感情表現の丁寧さは流石の一言。
ラブストーリーらしい甘酸っぱさを十分に楽しめるのはもちろん、ラノベ新人賞の舞台裏が少し知れて大満足な一冊。




最後に青くんの評価シートを読んで散々ダメだし感想を書いてきた己を反省…………することは全くなく、これからもダメなものはダメと言っていく所存であります。青くんみたいな聖人君子じゃないしw