いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「グラウスタンディア皇国物語6」内堀優一(HJ文庫)

グラウスタンディア皇国物語6 (HJ文庫)
グラウスタンディア皇国物語6 (HJ文庫)

アラティア陥落作戦における最後の難所で、絶体絶命の窮地に立たされた皇国陸軍。全滅も十分に有り得る状況の中、軍師クロムはリュリュとガジェルを連れて敵陣へと乗り込み、指揮官ベルゲンを相手に直接交渉を申し出る。本来なら応じる必要のない交渉。だがそれに敢えて乗ったベルゲンの真の目的が浮き彫りになる時、大戦は最終局面へと動き出す!!


各地で激化する戦争。
しかし、突然のクロムの退場によって戦略や奇策の要素がなくなり、また前回明かされた各国の内部事情は時々顔を覗かせるだけ。というより激しさを増す戦況の中でそれを気にしている状況ではなくなる。
そうして残ったのが、激しくて凄惨な戦況にも関わらず語り口は実に淡々としているゾクっとする内容に。淡々語られるというゾクっとする内容。特に「断章」のラトルグの侵攻はホラーの領域。ヨトク将軍がサイコすぎて怖さを超えてちょっと吐き気が。
そんな中で、一部切り取られて語られる大事な人の死が印象的。
残された者の涙が戦争の悲惨さ物語る。いやはや、ライトノベルでここまで真面目に“戦争”を語ってくるとは驚いた。
そんな訳で、戦争が生み出す狂気を、このシリーズにおいてはこの戦争の裏に居る狂った神々の存在を知らしめる話だった。
次回予告には「――決着」の文字。クロムの帰還で戦況がどう動くのか? 神を宿した王たちの動きは? この戦争の着地点は? 次に向けて色々と興味は尽きない。