いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「宝石商リチャード氏の謎鑑定 天使のアクアマリン」辻村七子(集英社オレンジ文庫)

宝石商リチャード氏の謎鑑定 天使のアクアマリン (集英社オレンジ文庫)
宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)

美貌の敏腕宝石商・リチャードの店「エトランジェ」でバイト中の大学生・正義。店には様々な人間が訪れる。結婚三十周年記念の指輪のための宝石を探す夫婦、恋人と連絡の取れなくなった女子大学生。そして、とあるオークションへの代理出席を依頼する者も。オークション会場には、リチャードの過去を知る男がいた。正義とリチャード、それぞれの想いはすれ違い――!?

リチャードの過去や家のことが明るみになる、この物語の分岐点となるであろうシリーズ第3弾。
話の流れはいつものように各話の依頼者の問題を解決していく短編連作形式。
宝石にまつわる話としては一話目の熟年夫婦の話が好み。夫婦の喧嘩寸前の棘のある言葉の応酬のようで正義と一緒にハラハラするが、長年連れ添って良いところも悪いところも分かり切っている夫婦だからこそ出来る言い合いと許容と甘え方に信頼が見えて、率直に「素敵だなあ」という感想。
あとは、今回はどう読んでも三話目からの流れだよね。
終盤に色々なことが立て続けに起こってまだちょっと頭が混乱しているが、とりあえず正義にこの一言だけは言わねばなるまい。
「このヘタレが!」
穂村さん、もっともっと叱ってやってくださいよ。
リチャードは自分にはずけずけものを言うくせに、谷本さん相手の時は過度に失敗を恐れているなんてこと言っていたけど、今回に限っては対リチャードでも結構ヘタレてたからね、正義くん。その所為で何も聞けないうちに最後あんなことに。リチャードからのサインはいっぱい出ていたのに。
凄く宙ぶらりんななところで終わってしまっているので、早く続きを下さい。