いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「居酒屋ぶたぶた」矢崎存美(光文社文庫)

居酒屋ぶたぶた (光文社文庫)
居酒屋ぶたぶた (光文社文庫)

寒い冬の夜。商店街の一角に気になる店が。覗いてみると、温かな雰囲気に心が躍る。ああ、入ってみたい、そんなとき。もし、店の隅にピンクのぶたのぬいぐるみが転がっていたら、それは「味に間違いない店」の目印かも。見た目はぬいぐるみ、中身は心優しい中年男性。山崎ぶたぶたが、いろんなタイプの飲み屋さんで、美味しい料理とともにあなたを待っています。

ぶたぶたさんと居酒屋。ついに最高の組み合わせ来てしまった!
それでなくとも見た目の可愛らしさと落ち着いた声の安心感から他人には言えない弱音をついポロっと吐き出させてしまうぶたぶたさんパワーに、お酒の力が加わったら鬼に金棒。……なにか表現がおかしいような気がするけど気にしない。
ただ、どれもお酒を出す店の話ではあったけれども普通の居酒屋の話は少なかったのがちょっと残念。そういえば食べ物系の話の時は、働いている店はバラバラなことの方が多いかも。
5話=5店あったお店の中で一番のお気に入りは、正統派に美味しそうで入りやすそうな、店名がそのままタイトルの「居酒屋やまざき」。駅近くで行きやすいのもいい。こんな店、帰宅途中にあったら絶対行き付けになる。話としても若夫婦のお互いの苦労と仲直りの話でほっこりする。
次点で「悩み事の聞き方」のおでん屋か。料理は抜群に美味しそう。ただ、長居できなさそうなのがマイナス。やっぱりぶたぶたさんには洒落た洋風よりも素朴な和風の方がベストマッチだね。
話としては「忘れたい夜」がお気に入り。店はビル地下の落ち着いたバーで、お酒に強い女性がぶたぶたさんのアシストでクズ男を撃退する様子が痛快。
そんなわけで今回も安心安定の美味しそうな料理と人情のぶたぶたシリーズだった。