いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「まるで人だな、ルーシー」零真似(角川スニーカー文庫)

まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)
まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)

「代償は、悲しみだけど?」「ああ。そいつは僕にいらないものだ」「そっか!」景色をその身に纏った少女・スクランブルはうれしそうに笑うと、小さく握りしめた拳で御剣乃音の腹を抉る――。人身御供となった御剣の願いを叶える神代タイム1分間の代償は【打算】【キスのうまさ】【愛情】etc. 人の感情を贄にして、エキセントリックボックスはヒトに近づく……。最終選考会騒然の異色作!

第21回スニーカー大賞《優秀賞》受賞作。
自分の感情を代償に願いを一つ叶えてくれるエキセントリックボックス(人型・幼女)を使う少年と、その周りのどこか壊れている若者たちの物語。



これは、、、なんとも形容し難いものが出てきたな。無理やりそれっぽく説明するなら、日々孤独を感じる少年の心情風景を描いた雰囲気小説ってとこかな。
設定は斬新。雰囲気は好き。でも面白かったかと問われたらNO。
主人公が元から空虚と感情を奪われて増えていく空虚を表現するのが上手く、その主人公を中心に作品全体がまとう退廃的な空気がとても良かった。
但し、やっていることは普通とは形を違えど立派な自傷行為で、それを延々と繰り返しているだけなので、読み進めるのがきつい。捻りなく言ってしまうと気持ち悪い。しかも人助けという言い訳まで付いているのが性質が悪い。
しかも、中途半端なハッピー?エンドと謎が謎のまま残るので読後感も決して良いとは言えない。
こんなんで納得するならそこまでの主人公の苦悩は何だったんだ? これでいいならあまりにも幼馴染みが不憫だ。で、結局エキセントリックボックスって何? タイトルのルーシーって何?エルフェンリート
こういう作品に優秀賞を出すのはスニーカーのイメージじゃないなあ。