いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「キラプリおじさんと幼女先輩」岩沢藍(電撃文庫)

キラプリおじさんと幼女先輩 (電撃文庫)
キラプリおじさんと幼女先輩 (電撃文庫)

女児向けアイドルアーケードゲーム「キラプリ」に情熱を注ぐ、高校生・黒崎翔吾。親子連れに白い目を向けられながらも、彼が努力の末に勝ち取った地元トップランカーの座は、突如現れた小学生・新島千鶴に奪われてしまう。
「俺の庭を荒らしやがって」
「なにか文句ある?」
田舎のスーパーのゲームコーナーに設置された、一台の「キラプリ」筐体のプレイ権を賭けて対立する翔吾と千鶴。そんな二人に最大の試練が。今度のイベントは「おともだち」が鍵を握る……!?
クリスマス限定アイテムを巡って巻き起こる俺と幼女先輩の激レアラブコメ
第23回電撃小説大賞《銀賞》受賞作!!

へー、高校生でもア○カツおじさんって呼ばれるんだ。小学生女児から見れば高校生でもおじさんか。恐ろしいね。



正直読む前からそんな気はしていたけれど、自分とは相性の悪い作品だった。でも、合わなかったポイントが予想とちょっと違った。
ライバルはJSでやっていることは女児向けのアーケードゲームながら、話の流れはスポ根に通じるものがある熱い青春ストーリーだったので、意外と言っては失礼だがあらすじの印象よりは真っ当に読める話だった。ア○カツにSっ気幼女、作者とは趣味が全く合わないなと思いながらだったが。
まあ好きなものは人それぞれなので、そこは大して気にならなかったのだけど、趣味以上に合わないなと思ったのが、感性とか倫理観とかそういう類いのもの。
アーケードゲームのマナーについて語る内容とやっていることが真逆の主人公。平然とお金をせびる優しいはずの幼馴染みと簡単に渡す主人公(後で理由は明かされるが)。一枚のカードがどれだけ大切か分かっている筈なのに、他人のカードを散乱させ紛失させて嗤っているヒロイン。コメディでは笑える修羅の国・小倉ネタを、シリアスシーンにまで入れてしまうセンス。どれも相容れない。小さな引っ掛かりが積み重なって次第にテンションが下がっていった。
ストーリー構成や読みやすさなどの作品としての完成度は新人賞作としては高い方だとは思う。でもね……銀賞でなければまず手を出さないジャンルの作品なので、不幸な出会いだったという事で。