いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新宿コネクティブ1」内堀優一(HJ文庫)

新宿コネクティブ1 (HJ文庫)
新宿コネクティブ1 (HJ文庫)

新宿に複数存在する、おかしな都市伝説。
その中のひとつである【依頼遂行率100%の何でも屋】に下宿している男子高校生・佐蛹慶介は、今日も家主である蔵祭平三郎とともに、新宿で起こる数々の事件解決に奔走していた。
とびきり優秀かつ超個性的な新宿の面々に囲まれながら、平凡を自称する慶介。だが、新宿に住む者は皆、口を揃えて言う。
――――本当に凄いのは、慶介なのだと。
人脈(コネ)の力で人も事件も世界も回す、新宿系エンタメミステリー!

これはいい。こういうラノベらしいキャラクター小説を久しぶりに読んだ気がする。一話一事件でサクッと読める軽さも“ライト”ノベルらしい。
凄腕掃除屋(何でも屋)のバイトの高校生・佐蛹慶介が主人公で、掃除屋に持ち込まれたり自ら首を突っ込んだした事件を解決するいわゆる「探偵もの」。天才だけど躁鬱の激しい掃除屋に強面敏腕刑事、一匹狼で正義のヤンキーなど、とにかく強烈な個性を放つキャラクター達が大都市・新宿を所狭しと暴れまわる、基本はポップなのにどこかハードボイルドを感じさせる、そんな作品になっている。
登場人物全員が主役級の個性を持ちながら群像劇ではなく、あくまで主人公・佐蛹くんの目線で事件を追うので(100%主人公視点ではないが)、自称凡人の主人公の目線から彼らがいかに凄いか、いかに変わっているかというキャラクター性を余すところなく楽しめるのが特長。
また、普通ならアクが強すぎて相容れないキャラクターたちを繋ぎ合わせて、いつの間にか事件解決への道筋をつけてしまうのも佐蛹くん。タイトルの意味とあらすじの「本当に凄いのは、慶介」とはこういことかと納得させられるラストが気持ちいい。
いくらでも話が作れそうな作りになっているので細く長く続いてほしい。
でも1巻からドラマCDを作ったりHJが妙に力を入れているのがちょっと不安(←おい)