いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「戦うパン屋と機械じかけの看板娘7」SOW(HJ文庫)

戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉7 (HJ文庫)
戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉7 (HJ文庫)

スヴェンの前に広がったのは、強盗犯に立てこもるトッカーブロートの姿だった。立てこもり自体はルート(と、突入したスヴェン)によって無事解決したものの、これは最悪の始まりでしかなかった。
“善意”の市民団体による抗議活動で客は減少、証人として出頭した裁判所では、ルートが戦時中に行った作戦が槍玉に上げられる。さらに、死んだとルートが思いこんでいたマリーまでも姿を現し、ルートは再び過去の亡霊に悩まされることに……。パン屋を諦めかけた相棒にスヴェンがとった行動とは!

確かに6巻の流れだと、政治や扇動や法律など言葉の力を使った嫌らしい搦め手で攻められる流れだったけど、それを100%前面に押し出してくるのは流石に予想外。
自分勝手な主張を武力での脅迫、無駄にデカい声、数の暴力などで押し通そうとする、今の世界情勢や、マスゴミや反政府団体の手法を端的に表した非常に良くできた内容。こういう不愉快な事例は日々ニュースで視ているから、エンタメ小説でまで読みたくはない。と思ってしまうくらいに。
アクションがなかったとはいえシリーズの話として破綻しているところはなく、ルートの過去は触れなければならない案件で、内容に納得はできるのだけど、正直に言って読んでいて楽しくはなかった。
これで最後でスッキリ出来たり、もしく敵がちゃんと力を誇示してくれれば印象が違っていたのかもしれないけれど、最後に失速するのがいただけない。
スヴェンが暴れられないのは状況的に仕方がないとしても、平和教ってのが思った以上にお粗末で、「保安部」なる奴らはさらにお粗末(彼らは何のために出てきたの?)と、終盤はモヤモヤが溜まっていくだけで、読後感がとても悪い。
街の人たちの信頼とスヴェンの涙に胸が熱くなったところが数少ない救いだった。