いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「NNNからの使者 猫だけが知っている」矢崎存美(ハルキ文庫)

NNNからの使者 猫だけが知っている (ハルキ文庫)
NNNからの使者 猫だけが知っている (ハルキ文庫)

最近寂しさが身に染みる独身男藤本誓のもとに、やけに模様がくっきりとした三毛猫が現れるようになった。と同時に、会社からの帰り道、野良と思われる白猫が「お腹すいた」と猛アピールしてくるように。食べ物を与えるようになった誓は、次第に猫が飼いたくなり、ペット可物件に入居してしまう(表題作「猫だけが知っている」より)。今日もミケさんたちは、猫好きな誰かのことをじっと見ている!? ページをめくるたび、あなたも猫の魅力のとりこになる、モフモフ猫小説誕生!


冒頭
※NNNはネット上の都市伝説です。作者の創作ではありません。
!?
NNN=ねこねこネットワークとは何ぞや?とググってみたら、NAVERにまとめられてて笑った。来る人のところへは来ることがこんな話になっているのか。
さて、肝心の内容の方は、
流石は『ぶたぶた』の矢崎さん。少し社会派の入った人情味溢れる短編連作に仕上がっている。
人間側が天涯孤独になった独身男性だったり独りになったおばあさんだったり、寂しさから温もりと癒しを求める人が主役になるので、そういった方向性になるのは必然と言えるだろう。
大きな特徴として猫視点があり、猫たちが人間と変わらぬ思考でコミュニケーションをとっているところ。人間臭くもあり欲望に忠実なのが猫っぽくもありで、こちらの視点の方が面白い。おまけに中心猫物ミケさんの謎めいた行動から、NNNの活動内容が垣間見えるかも? ただ、第五話のミケさんは喋りすぎかな。人間目線はもちろん猫目線でも何かを超越した神秘的な存在だったのが、第五話でそれが消え失せた。彼には神秘的な存在でいて欲しかった。それがNNNのミステリアスさにも繋がっていたのに。
帯のモッフモフの猫小説と銘打つほどはもふもふ感がないのが残念だったけど猫(主に子猫)の可愛さは十分、猫派なのに飼える環境にいたことがない自分のような人種には羨ましさが募っていく、猫好きには堪らない一冊だった。あー飼いたいなぁ。