いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか」はむばね(富士見ファンタジア文庫)

お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか (ファンタジア文庫)
お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか (ファンタジア文庫)

同じクラスの庄川さんは魔光少女だ。(すごくかわいいい!)彼女の身バレを防ぐために、完璧フォローを誓った僕だけど、『クラスのど真ん中で変身しようとしないでくださいぃぃぃ!』超弩級のうっかりさんだった!もっと細かなフォローをするためには、常に一緒にいるぐらいの心構えでいなくては…。「庄川さん!(物理的に)付き合ってください!」「あ、はい」よし!これで、一緒にお昼を食べたり、下校したり、遊園地に行ったり―お助けキャラとしてフォローは完璧だな!……ん?恋人同士?いやいや、お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか。無自覚だらけの勘違いラブコメ!

第30回ファンタジア大賞〈金賞〉受賞作。でも作者買い



街で噂の魔光少女マホマホの正体がクラスメイトの庄川さんだと知ってしまった主人公・平地くんが、迂闊な彼女のフォローをすべく奮闘する勘違い×すれ違いラブコメ
初めのうちはご当地ヒーローみたいなB級感が凄い魔法少女のしょっぱさと、正体を隠す気が無い様にしか見えない庄川さんをわざわざフォローする主人公の行動が無駄な努力にしか感じられなくて、正直微妙だと思いながら読んでいた。
しかし、読み進めたら印象は一変。魔光少女は舞台設定以上の意味はなく純然たるラブコメで、メインキャラクター4人が揃ってからが本番だった。
4人それぞれの認識が
平地(モブ主人公)=庄川:正体を知ってしまった 空橋:魔光少女の正体を知る同志 里崎:リア充女子
庄川(魔光少女)=平地:突然告白してきた不思議な男子 空橋:クラスメイト 里崎:恋愛上級者
空橋(イケメン)=平地:好きな子の為に体を張れるヒーロー 庄川:正体は知らない 里崎:ギャル
里崎(腐女子)=空橋×平地:相思相愛 庄川:最近、腐の世界に入ってきた同志 
と、見事なまでに噛み合っていない。この認識のズレが絶妙な塩梅で料理されている。
各々の自分勝手な脳内補完でギリギリ会話が成立する台詞のチョイスがお見事。すれ違い方も不自然でなければ悲しくなるような酷いものでもない、笑いで収まる程度で納めるバランス感覚が素晴らしい。そこに作者らしい真っ直ぐで微笑ましい感じキャラクター達がマッチしていた。
ゲーマーズ!』もそうだけど、しっかり計算された勘違い×すれ違いラブコメって、ヤキモキすることの方が多いはずなのに、なんでこんなに面白いんだろう。