いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「居酒屋ぼったくり9」秋川滝美(アルファポリス)

居酒屋ぼったくり〈9〉
居酒屋ぼったくり〈9〉

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。
名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある――
旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の第9巻!

今回は“新鮮な”恋バナありで、なかなかのニヤニヤ度。
読み物の甘味好きとしては恋バナ大歓迎ながら、これまでずっとやってきた美音と要の話は、要の家が絡むと居酒屋メニューから高級フレンチになってしまうこともあり、流石にもうお腹一杯な感があった。
その点、若い二人の恋路は新鮮さもさることながら、二人の醸し出す素朴さが『居酒屋ぼったくり』にピッタリ。相手を思いやる気持ちがあるからこそ、もう一歩が踏み出せないもどかしい感じ。この優しさがこの店このシリーズの一番の調味料だと思うんだ。
ただこの二人の話では、出来合いじゃなくて素材を求めていて、残ったら冷凍という発想もあり、そもそも相手の財布を気にしての行動なのに、わざわざ割高なコンビニに行く理由はちょっと分からない。蒸し鶏をコンビニで買うなら、休みの日に鶏を買い込んで、茹でて裂いて小分けにして冷凍しておけばいいのに。……と思うのは主婦脳なのか、コンビニが手軽にいける距離にない田舎脳なのか。
そんな細かい感覚に違いはさて置き、今回は常連さん達の優しさに加えて結束力の高さが見える話が多くて心がホクホク。特に近所の子が行方不明?な「家出騒動」での初動の早さには舌を巻く。
さて、もう一つのお目当てである酒と肴の方は、、、
今回も低調。美味しそうな品はいくつかあるが、目新しさがないのもあって作ってみようと思うところまで行かないんだよね。それとやっぱり初期に比べると描写が薄くて寂しい。
甘味もいいけど、そろそろつまみの充実が欲しい今日この頃。




ドラマの配役がイッセー尾形さん以外誰も分からん(^^;
帯の写真を見る限りメインの二人は若過ぎるな。