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ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 (24) エスケープ編 〈上〉」佐島勤(電撃文庫)

魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編<上> (電撃文庫)
魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編<上> (電撃文庫)

「トーラス・シルバーは、国立魔法大学付属第一高校三年生、司波達也氏である」
七賢人の一人レイモンド・クラークによるビデオメッセージは日本だけでなく、世界中に大きな波紋を投げかけた。
そして、実質の魔法師追放計画ともいえる『ディオーネー計画』。達也はこれに対抗すべく兼ねてより研究をしていた恒星炉を用いたプロジェクト『ESCAPES計画』を発表する。
それは深雪のため、魔法師の未来の為、達也が選んだ道であった。
時を同じくして、滅んだはずの周公瑾と対決する光宣。さらに、十三使徒の戦略級魔法が達也を捉える!?達也と深雪に最大の危機が訪れようとしていた――。

実質対達也計画である『ディオーネー計画』に対抗して、達也が兼ねてより温めていた魔法師を戦争利用させないための計画『ESCAPES計画』を発表する24巻。
なんかこう、盛り上がることなくあっさり終わった。上巻という事を差し引いても地味。話の規模がどれだけスケールアップしていても、肝心な達也の活躍の場が少ないと、どうしても大人しい印象になるね。
現状、達也を相手にするには暗殺という絵的に地味な方法を取らざるを得ない状況なのに対して、ラノベとして映えるバトルを演出するには、「やあやあ我こそは……」の時代劇方式や、ヨーイドンで打ち合う西部劇方式など、相手と“相見える”状況でないとならないという、ジレンマが発生している気がする。要するに達也が俺TUEEEする機会が失われている。シリーズの醍醐味を自ら消しに行くようで、本末転倒の様な……。
また、スケールが大きくなった分、粗が目立つようにも。
各陣営の思惑をなるべく分かりやすく表現した結果なんだろうけど、それが逆に稚拙に感じるというか、どこもかしこも行動が短絡的で、お偉方に見識の高さや威厳を全然感じられないという残念な状態に。特にUSNAのへっぽこ具合は最早ギャグだろう(^^;
一つの失敗で周囲がなりふり構わずなれば、下巻はお兄様無双になるかもしれないが、、、流石にないかな。とりあえず光宣君が鍵になりそうね。