「そうだ。京都へ行こう」
順位戦が終わり、プロ棋界は春休みに突入した。八一はあいを伴って京都を訪れるが、しかしそれはデートでも慰安旅行でもなかった。
『山城桜花戦』――女流六大タイトルの一冠を巡る戦いを見守るため。
挑戦者の月夜見坂燎と、タイトル保持者の供御飯万智。
「殺してでも奪い取る」
「……こなたはずっと、お燎の下なんどす」
親友同士の二人が激突する時――八一とあいは女流棋士の葛藤と切なさを知る。
春の京都を舞台に、華よりもなお華やかな戦いが繰り広げられる秘手繚乱の第8巻!
随分早いなと思ったら（７巻から２ヶ月）、半分短編集だからだったのか。そんなわけで８巻は、本編の供御飯万智と月夜見坂燎による山城桜花のタイトル戦の間に、八一の思い出話として短編を挿し込む作りになっている。
そうそう、白鳥先生のコメディはこんな感じだった。このところシリアス＆熱さメインだったから忘れてた。ツボに入って爆笑するか、やりすぎでドン引きするかの両極端になるこの感じ、懐かしい。のうりんを読んでいるかのようだった。（ところでのうりんの最終巻はいつですか？） ちなみに今回だと、焼肉＝爆笑、アイドル活動＝ドン引き、天衣のゲーム＝ドン引き（でもアイドルよりはマシ）。
と、短編部分は久々のおふざけだったが、本編は最近の流れの通りにシリアス＆熱い。
日記や八一への心情吐露で、女流棋士の厳しい実情を伝えつつも、待っているのはタイトル戦。そこは男だろうが女だろうが、称号の格が大きかろうが小さかろうが関係ない、一世一代の真剣勝負の世界だということを知らしめてくれた。それが親友同士となれば、また読者にとってはどの巻でもラストをいい感じに締めくくってくれているお姉さま方となれば、ひりつく空気と思い入れが数割増しに。ちなみに自分はそれまでも好きだった万智さんに、直前のやり取りでさらにがっつり思い入れしていたので、決着の瞬間はガッツポーズでした、ええ。万智さんいい女すぎるだろ、マジで。
しかしあれだね、こうして改めてみると八一は結構な人数の女の子の人生狂わせてる魔性の男だね。……頓○すればいいのに。
さて、次は天衣か八一か銀子か。緩めの回が続いたからそろそろ厳しい話が来そう。でもその前に約束の取材が楽しみ。
