いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「クラスメイトが使い魔になりまして」鶴城東(ガガガ文庫)

クラスの美少女を侍らせてみたい。誰もが一度くらいは考えるんじゃなかろうか。でもまあ、正直オススメしない。落ちこぼれ魔術師の俺、芦屋想太には藤原千影という使い魔がいる。彼女は魔術師の名門出身で、ついでに誰もが憧れる学年一の美少女だ。え、羨ましい?? まじか、じゃあ譲ってやるよ。まず、こいつはご主人様に求める理想が高い。負けん気が強く、中々反抗的で、絶望的に貧乳だ。それでもいいならぜひ引き取って……あ、うそ! 許して、藤原さ―――
この物語は主従関係からはじまる、ふたりの恋(?)のヒストリー……らしい。

第13回小学館ライトノベル大賞〈ガガガ賞&審査員特別賞〉受賞作


魔術師学校の落ちこぼれが昇級テスト中の事故に巻き込まれ、なぜかクラス一の才女が使い魔になってしまう学園異能ブコメディ。

新人賞とは思えない完成度の高さ。
異能設定(主に召喚術周り)をラブコメ要素に転換するのは上手いし、東西の派閥争いや学内の人間関係などファンタジー要素以外もしっかりしていて人間ドラマとしても読ませてくる。文章にはクセがなく、読みやすくて普通に面白いんだが。これホントに新人賞?
ただ、2つ気になることが。
一つは主人公の設定が作者にとって都合が良すぎること。
その設定で話が面白くなるなら構わないのだが、自分の過去に関わることだけ覚えていられない呪いというのは流石に……。そもそもヒロインたちの語りで主人公が元々どういう人物かほとんど言っちゃってるようなものなのに、隠す必要があるのだろうか。ヒロインたちが最初から主人公に惚れている理由がはっきりしていないのは、ラブコメとしてデメリットなんだけど。
もう一つはメインヒロインにこれといった特徴がないこと。
ヒロインになりえる女子が5人も出てくるのだが、可愛さは旭ちゃんの圧勝で、親密度なら幼馴染、女性的魅力なら召喚魔人か旭、悲劇のヒロイン度は会長や召喚魔人の方が上。メインヒロインはどこをとっても中の下。人気が出たヒロインに挿げ替えられる設定でもないしなあ。
……あ、苦言の方が多くなってる(^^; 申し訳ない。
普通に面白いですよ(説得力ゼロ)。旭ちゃんがかわいいです(マジで)