「秋山野要は愛されている。」石崎とも(電撃文庫)
高一の夏休み。事故にあった秋山野要はベッドの上で目覚めた。三人の美少女に囲まれて――。
今がチャンスだと言わんばかりに、記憶を失ってしまった要に、あること無いこと吹き込もうとする少女たち。
「わたしとらぶらぶだったの!」「要様の心を射止める争奪戦を開始しよう!」「したくない? アタシとキス」
美人な親友に、自称妻、さらには愛人まで現れ……『秋山野要』って何者!?
モテモテすぎる『秋山野要』と、身体が同じなだけの、まるで別人格な自分。
突然、美少女たちの愛を一身に受けることになった要の選択とは――!?
記憶喪失ってこういうもん?
もちろん経験があるわけではないので、絶対におかしいとは言えないが、この主人公の記憶喪失の状態には強い違和感が。元々二重人格で、事故をきっかけに主人格が消えたか寝てるかしている、なら納得が……いや、それだとプライベートな記憶がゼロの説明がつかないか。
ハイスペックでしがらみの多い名家の御曹司の体に、凡人の主人公の魂が入ってしまった物語。というのが最もしっくりくる。
で、肝心の内容の方は、掴みは良かった。
個人を個人たらしめるものは『心』なのか『身体』なのか『記憶』なのか、あらすじの軽さとはかけ離れた真面目な命題に面食らいながらも、三人のヒロインの三つ巴の主張には興味を惹かれるものがあった。
ただ、その後はその問題が大きく取り上げられることはなく、凡人の少年がハイスペックお坊ちゃんの事情に無理して合わせている様子を、ハラハラしながら見守っているだけになるので、正直どこをどう楽しめばいいのか分からない。作者は何が書きたかったのだろう。やっぱりアイデンティティの問題なんだろうか。
結局、何がしたいのかよくわからない作品だった。
「キノの旅 XXII ―the Beautiful World―」時雨沢恵一(電撃文庫)
キノとエルメスは誰もいない街を走り――そして、国の南側で、一つのドームを見つけた。「よし、行ってみよう」そのドームへ続く道へとエルメスを傾けた。薄暗いドームの中には、平らな石の床が広がっていた。その上に、無造作に散らばっているのは、多種多様な白い骨。薄暗闇の中で、骨はまるで、ちりばめた宝石のように光っていた。「なるほど……」「一つ謎が解けたね」キノは、滅多に点灯させないエルメスのヘッドライトをつけた。ドームの床を、真っ直ぐな灯りが走った。「いくよ」「あいよ」(「餌の国」)他全11話収録。
あ、電撃文庫って随分シンプルなデザインになってたのね。背が青に白字なのも前と違う。いつ変わったんだろう。
↑ここ数巻何もないのに、とりあえずカバーを外してしまう人の図。
今年は7月なキノの旅最新刊。20周年おめでとうございます。
今回は世の不条理を謳う話が多く、遣る瀬無さが強く残った。その印象を決定付けたのが「川の畔でb・a」。ほんの少しの我慢、ほんの少しの運が足りず、掴めなかった幸せに対する悪態が強烈。
そんな中で爽やかな後味を残してくれるのがフォト&ソウの「来年の予定」。泰然としたキノとは違う、元気なフォトらしい話でこの巻で一番好き。それに、ふとしたきっかけで運を掴む話で、不条理話と対になっている点も面白い。ああ、だから「誰もが幸せになれる方法はない。誰にも幸せになれた方法はある。」なのか。
あとは「届ける話」。「コロシアム」前のシズが読める日が来るとは。昔のシズがカッコいい。口絵でかわいいシズ様やった後だったので余計に。
あとがきは20周年ならではで面白かったのだけど、それ以上に直後の黒星先生の一枚にやられた。シズwww キノはお師匠様そっくり……ってキノ本人に言ったら、めっちゃ嫌な顔されるんだろうなw
7/9の雑談
お買い物(薬)
今月初、たぶん1ヵ月ぶりくらいの外出。
主に予備がなくなった薬を買いに。
あと、毎年暑くなり初めに悩まされる汗かぶれ(たぶん)の為に
これを買ってみた。
効けば安い買い物、ダメなら高い授業料。
お買い物(本)
「シャルロットの憂鬱」近藤史恵(光文社文庫)
「夏の探偵は学生しかしない」山本豪志(徳間文庫)
「Unnamed Memory II 玉座に無き女王」古宮九時(電撃の新文芸)
Unnamed MemoryはIがなかったので、結局ネット頼り。
ところで電撃の新文芸って「電撃の新文芸」と「電撃《新文芸》」のどっちが正式なレーベル名なの?