いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「バタフライ×ブレイクダウン1 君が世界を救うというなら」佐々原史緒(ファミ通文庫)

バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら (ファミ通文庫)
バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら (ファミ通文庫)

祐吾【ゆうご】の前に突然"空から降りてきた"少女、桜庭【さくらば】せせりは未来から来た「時軸修復士」だった。何でもこの時代の些細な出来事が巡り巡って未来の世界滅亡に繋がるのだと! ところがそれを阻止するための彼女の任務は恋のキューピッド役など何かと地味。果ては「はぁ!? トップアイドルの○○を××する!?」「協力してください!」「え? ま、任せとけ! ってか、そんなんで人類助かるの!?」時代【シチュエイション】を越え運命【ポジション】を越える、崖っぷちの【クライシス】ボーイ・ミーツ・ガールズ!!


未来から来たヒロイン・せせりを偶然拾ってしまった主人公・祐吾の物語。出会ったじゃなくて拾っただよね、これw
時軸修復士であるせせりが人類滅亡を阻止するために原因となる因果を消していくという話で、設定だけなら間違いなくSFに分類されるはずなんだけど、その因果が馬鹿っぽい。最低男の恋路を手助けしたり、ポロリを阻止してみたり。おかげさまでばっちりコメディ。作品の雰囲気も底抜けに明るい。
そこに天然ドジっ子なせせりとツッコミ気質な主人公のテンポのいい会話が合わさって読んでいて楽しい楽しい。前作が悪かったとは思わないけど、やっぱり佐々原節は明るい話でこそ生きるね。
キャラクターは、流されやすいなんて言いながら会ったばかりのせせりの為に必要以上に頑張っちゃう祐吾は好感が持てる奴で、せせりは子犬可愛い。頻繁に使う「えー」が好き。裏表の乖離が激しいアイドル達や男の娘父と最強幼女の親子などのサブキャラの濃さもなかなか。
主人公の成長譚としてもラブ方面も期待できる作りになっているし、エピローグで語られた残る謎以外にもいくつも謎やフラグが残っていて、続きが待ち遠しい。