いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。」島津緒繰(このライトノベルがすごい!文庫)

薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。 (このライトノベルがすごい! 文庫)
薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。 (このライトノベルがすごい! 文庫)

エッチな絵を描いていたところを女子に見られてしまった。僕の高校生活は終わった。そう思った。しかし、なぜか生活に変化はない。僕の秘密を知った薄氷もぼっちだから、噂が広まらないのか? だが、ある日人気のない屋上に連れ出された僕は薄氷から「秘密をバラされたくなければアニメを作れ!」と脅迫され、アニメ部をつくるハメに……。アニメ美少女の概念を覆すヒロイン誕生! 第3回『このライトノベルがすごい!』大賞栗山千明賞受賞作!


これはメインヒロインの生徒会長を愛でる作品である。
部活創設ものとして王道ストーリー……といえば聞こえはいいが、ストーリーもキャラクターもその立ち位置もベッタベタのテンプレで意外性なし。表紙のメインヒロインっぽい人は性格が残念どころではない性格ブスで可愛げの欠片もなし。
アニメ制作の時だけ流れから切り離されたように真面目な内容になるので、そこだけはちょっと興味を引かれたが、それ以外楽しめるところがないなと思いながら読んでいたら、中盤から創部の敵であるはずの生徒会長が化けた。
主人公に身を挺して助けられたことから始まる微デレや、信用してないと言いながら内心を吐露してしまう無防備さなど、可愛い生き物化が加速する。最後の主人公の一言で頑張っちゃう姿はまさにヒロイン。
そもそも主人公と本心で語り合っていたのは彼女だけなら、主人公が最後に頼りにしたのも彼女。おまけに挿絵が会長の方が多いし。この扱いでなんでこの表紙、このタイトルなんだろう。
部活ものとしてはあまり面白味はないが、後半の主人公と生徒会長の本音をぶつけ合う青春ストーリーは一読の価値あり。