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ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ユート 拉致から始まる異世界軍師」吉野匠(このライトノベルがすごい!文庫)

ユート 拉致から始まる異世界軍師 (このライトノベルがすごい! 文庫)
ユート 拉致から始まる異世界軍師 (このライトノベルがすごい! 文庫)

秋山優人は、ごく平凡な中学生男子。人と変わっていることといえば、毎晩のように生々しくも鮮やかな冒険の夢を見ることくらい。そんなある日、優人は夢の中に出てきた変な男に誘われて、本当に異世界に召喚されてしまう。突然降りかかってきたリアルな冒険に大喜びする優人。しかし召喚された理由が「地球に侵攻するにあたって情報を聞き出すため」だと知って……。吉野匠が贈る異世界ファンタジー、ここに開幕!


異世界召喚もの+戦記ものという最近のファンタジーラノベの流行りを掛け合わせた設定に、清純系お姫さまや美少女従順アンドロイドなど人気の出そうなヒロインたち。これで内容が伴っていれば人気が出る要素があったのかもしれないが……。
流行っているからと言ってそれを詰め込めばいいってもんでもないでしょうに。
平凡な中学生にいきなり軍師を任せて勝利? 軍事オタクだとか、戦略シミュレーション大好きなゲーマーならまだ話は分かる。他作品のようにスマホで検索できる状況にあるなら分かる。何もないこの主人公が成功する可能性はどう見積もってもゼロ。
軍師はまずは情報ありき。それから個人の発想力や頭の回転が問われるにも関わらず、地図すら見ていないガキのいい加減な思い付き作戦で勝利されても「ふざけんな」としか思わない。
その後のスパイ作戦にしても、あんなにあっちこっちに言いふらしたら普通バレるだろう。裏切り者バルタスの言の方がよっぽど説得力がある。
全てにおいてストーリーに必然性がまるでない。ご都合主義にもほどがある。 戦記を、戦争を馬鹿にするなという気持ちでいっぱい。
吉野先生は力のある作家だと思っていたので余計にがっかりした。こんな流行だけをインプットして適当にアウトプットしたようなものを書くなら「クロス・エデン」の続きを書いてください。お願いします。