いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はたらく魔王さま!13」和ヶ原聡司(電撃文庫)

はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)
はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)

天使と勇者の母娘喧嘩は落ち着いたものの、依然仲が悪い恵美とライラにうんざり気味の魔王。ライラから異世界を救うための“お仕事”の内容が伝えられるが、それに不信感を抱いた魔王は、ライラに自宅を見せろと提案。皆で練馬の自宅へ行くことを決める。
一方千穂は、恵美のために動く魔王を見て落ち込んでいた。二人が仲良くなることを望んでいたはずなのに、ヤキモチを焼いてしまったのだ。しかも、二人は異世界に帰ってしまうのではないかと、授業も手につかない。その日の夜、思いがけず梨香からメールが。芦屋と食事に出掛けたという梨香と「悪魔に恋する乙女たちの女子会」が始まるのだが――!?


今回は世界に何が起きているのかやライラが真奥と恵美に何をさせようとしているかを、まだまだ勿体ぶりながらだけども説明する回だった。それと周りの人達が心に溜まっていたものを吐き出して、心の整理をする回でもあった。そこには梨香と芦屋の話もあって、なかなかにラブ度が高くて泣くようなところはなかったのだけど……
ちーちゃんが、いや千穂ちゃんが健気な良い娘すぎて泣ける!
あまりに聡明で察しが良くて、誰よりもメンタルが強いので忘れがちだけど高校二年の女の子なんだもの。ヤキモチを妬いたり不安になるのは当たり前。というか、そんなの大人でもしょっちゅうだ。マジ天使とか言って、勝手に神格化してごめんね。それにしても、話を聞けば聞くほどこの物語の天使共はクズだな。千穂ちゃんの爪の垢煎じて飲ませたら、浄化されて消滅するんじゃないか? ……話が逸れた。
でも、そのヤキモチから自己嫌悪に陥ってしまうのが千穂の千穂たる所以だ。友達に「ワガママになれ」って言われて実行できたのが他愛もない事だった時は、微笑ましいやらもどかしいやらで温かいシーンなのにちょっと泣きたくなった。
話がどんな方向に進もうとも千穂だけは幸せになることを願わずにはいられなくなる回だった。