いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



沙漠の国の物語―楽園の種子 (ルルル文庫)

沙漠の国の物語」倉吹ともえ(ルルル文庫
沙漠の国の物語―楽園の種子 (小学館ルルル文庫 く 1-1)

沙漠の聖地ガヴルで天真爛漫に育った男装の少女ラビサは、“シムシムの使者”として旅立つことに。シムシムは水をもたらす奇跡の樹で、その種子を植えるに相応しい町を広大な沙漠からひとつだけ探すのだ。旅立ちの直前、ガヴルが盗賊“砂嵐旅団”に襲われ、ラビサは突如現れた少年ジゼットに救われる。そして二人は逃れるようにガヴルを離れ、運命の旅に出た! 沙漠を舞台にドラマチックな物語が始まる!

小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門」大賞受賞作。沙漠の冒険譚。


なんというか、ライトノベルらしい作品。
キャラも設定もしっかり作りこまれている感じ。中でも主人公ラビサはお気に入り。女の子なのに少年ぽい振る舞いと、世間知らずで危なっかしい感じがなかなか可愛い。これで一人称が「僕」だったら完璧だったのだがw また構成的にもコミカルとシリアスのバランスもいいし、上手くまとまっていてストーリーだけをみれば新人とは思えない完成度。
ただ欠点がある。はっきり言って読みづらい。三人称視点で統一されているのは普通なのだが、何の前触れもなく説明をしている対象者が入れ替わるので読み返して確認しなければならなかったり、説明過多になったり説明不足になったりで流れが把握しにくくテンポが悪い。(こういうのって作家よりも編集の責任か?)
面白くないわけではなかったがこれといった特徴がないためか、読みづらさだけが印象に残ったのが残念。