いつも月夜に本と酒

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カラクリ荘の異人たち?もしくは賽河原町奇談? (GA文庫 し 3-1)

「カラクリ荘の異人たち 〜もしくは賽河原町奇談〜」霜島ケイGA文庫
カラクリ荘の異人たち~もしくは賽河原町奇談~ [GA文庫] (GA文庫 し 3-1)

異世界へ行く方法を尋ねられ「車か電車で行けば?」と答えた太一に、クラスメイトの采奈は「そんなのつまらないし、安易すぎ」と言った。
しかし、下宿することになった空栗荘へ向かうため彼が賽河原町でバスを降りると、そこは人でなく魚人やムジナ、のっぺらぼうに、喋るカラス――etcたちが行き交う、妖怪たちの住む町だったのだ。
おまけにたどり着いた空栗荘は、人間とはいえ一癖も二癖もあるような住人たちばかり……。
そんな「あちらとこちら」が混じり合う場所で新生活を始めた太一に巻き起こる、不可思議な出来事の数々とは? 賽河原町奇談開幕。

表と裏、人間の世界と妖怪の世界を繋ぐ空栗荘。心に傷を持ち感情の一部が欠けてしまっている少年太一と、その周りの人間、妖怪が織り成すハートフルストーリー


ページ数(317頁)のわりには物語の触りだけという印象。でもその丁寧な作りがのんびりとしたムードを生み出していて好印象。また、太一が感情が欠けている以外はあまり個性がない代わりに、周りの人間や妖怪が個性的。というかあくが強い。主人公が個性的ならそれに越したことはないと思うが、主人公が無個性だとドラクエ的RPGのよう*1に自分が主人公になって周りの人たちを見ている感覚になれるので、これはこれで好き。
妖怪やら悪霊やらが出てくるわりにはあまり緊張感のないまったりした雰囲気が良かった。これから太一がどうやって凍った心を溶かしていくかも興味深し、続きも期待。

*1:最近のRPGは主人公の個性が強くてプレイヤーは外野にいるような気がする