いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



アマデウスの詩、謳え敗者の王―黄昏色の詠使い〈3〉 (富士見ファンタジア文庫)

アマデウスの詩、謳え敗者の王」細音啓富士見ファンタジア文庫
アマデウスの詩、謳え敗者の王 (富士見ファンタジア文庫 174-3 黄昏色の詠使い 3)

“大丈夫。一緒にいてあげるよ”
クルーエルさんの言葉は、本当だった。一緒にいて僕を孤独から、危険なことから守ってくれた。僕はただ、与えられた優しさを受け取るだけ。
だから今、彼女が僕の助けを必要としてくれるなら。全力で応えるために、夜色の詠を詠う。不完全でも、不恰好でも、これは僕が彼女のために紡ぐ詠――。
想いを世界に反映できる召喚術・名詠式。その専修学校トレミア・アカデミーに、人を石化する灰色名詠の使い手が侵入した。目的不明のまま、自らを「名も無き敗者」と称する使い手は、校内の人々を次々と石化していく。そして、ついにクルーエルとネイトたちにも「敗者」の手が伸びるのだが――!?


話がスケールアップしてきた。というか謎が明らかにされていくにつれ、予想以上に壮大な物語だったことが分かってきたといった感じか。謎が少し明らかになり世界の形がおぼろげながら見えてきて、シリーズ全体としては非常に面白くなってきたけど、この本単体としては過去二巻に比べるとちょっと・・・
今まではネイトやクルーエル、エイダなど、その話のメインになっているキャラの視点でしばらく物語が進行したので感情移入しやすかったが、今回は事件に関わったキャラが多かったせいか、忙しなく視点が変わり感情移入しにくい。登場人物たちの“自分よりも他者を思いやる優しさ”はいつも通りだったけど、感情移入できない分、感動が少なかった気がする。それにもう少しネイト視点が欲しかった。*1最後の締めの役割がネイトなら、彼にはもっと悩んでから答えを出してくれた方がラストが盛り上がったと思うのだけど。部分部分ではいいシーンいい台詞あったが、全体的にはちょっと物足りなかった。
まあ今回は世界の形を見せる話だったから、キャラに突っ込んだ話は次回以降に期待ということで。
ただこの流れだと辛い展開が待っていそうだなぁ・・・



〜余談〜
でも今回の一番の驚きはクルーエルの身長だな。高っ!

*1:二巻のあとがきで「夜色の少年」の織りなす、〜〜 と書いてあったのに